虹色の雲 彩雲


先日、山科を歩いていると、虹色の雲「彩雲」を見かけました。
写真だと分かりにくいかと思います。ただ、実際には雲の中心部分がはっきりと虹色に見えていました。空を見上げていると、ときどきこのような美しい光景に出逢うことがあります。空に薄い雲やすじ雲が出ているときに彩雲は見えやすいので、見上げて見てもよいでしょう。
似たような現象に、環水平アークや環天頂アークがあります。厳密には見える位置や理論も彩雲とは異なる現象ですが、どれも雲に虹色が出るため、受け手としては同じような印象を受けるでしょう。
今回は、太陽高度も低い夕刻で、雲は太陽に近くて色づきはごく狭い一部分だけ、そしてほどなく消えました。といったところから「彩雲」だと思っていますが、環水平アークとの細かい違いは私は実地で見分けた経験はありません。少なくとも水平に近く色もはっきり分離した虹色の雲は目撃したことがまだ無いため、理論では知っていても実際に肌で体感してみないことには確実な判断は難しいものだと感じます(私個人はそんな能書きよりも、ただ美しい虹色を楽しめばよいと思っていますが)。
さて、彩雲は地震の前に見られると言う話もあります。しかし、それはタダの都市伝説で理論的にはあり得ません。
伝説と言えば、彩雲は古来から瑞兆として知られています。呼び名は錦雲(にしきぐも)・紫雲(しうん)など様々で、禅の言葉では「慶雲五彩を生ず」といった瑞兆を表すものあります。五彩とは青・黄・赤・白・黒の五色のことだそうです。
きちんと調べたわけではありませんが、紫雲と言うならば、枕草子の一節「春はあけぼの やうやう白くなりゆく山ぎは 少し明かりて 紫だちたる雲の細くたなびきたる」の「紫だちたる雲」は、ことによると彩雲のことなのかもしれません。
雲が虹色になるというのは、神や仏、あるいは祖先の霊のなせる技だと思われたのでしょう。その美しい姿は、やはり「吉兆」を思わせるにふさわしいものだと、現代の私は感じます。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として9年目。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。散策メニューはこちらから

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