五山の送り火と広沢池の灯篭流し


16日は五山の送り火が行われ、各地でお精霊(しょらい)送りの行事が行われました。今回は五山・6つの送り火を全て見ることができ、広沢池の灯篭流しも大変に美しい光景でした。
送り火の写真を含め、京都の各地のお盆の様子はFacebookにて写真を公開しています。どうぞご覧ください。面白いのは、千本閻魔堂。こちらの鐘は15日までは「迎え鐘」ですが、16日のみは先祖を送る「送り鐘」へと変わります。

さて、今年の五山の送り火は予期せぬ騒動があり、例年とは違う注目を浴びました。陸前高田の薪とは別に京都産の松が用意され、15日には東日本大震災の犠牲者慰霊復興祈願のために京都市役所前では護摩木の受付を行っていました。京都市長も出て報道陣が集まり、異様な雰囲気の中、護摩木を書いた方にはインタビューもされていました。また銀閣寺のふもとでは大文字で燃やされる薪や護摩木の受付も行われ、人々で賑わっていました。

五山の送り火には6つの文字がありますが、私のお勧めはあまり欲張らずに1つか2つをじっくりと見ることです。理由は、いくつも見ようとするとそれぞれが小さくなってしまうこと。また、燃えている時間は数十分と短く、夜の暗闇や人混みの中で移動をするのは土地勘が無いと困難だからです。送り火が見える場所は地元の方が本当によく知っていて、すでに早くから人がいますので、そこへ後から観光客が移動するのは難しいと考えておきましょう。できるだけ目標を絞ってじっくり眺めるのが、風情もあってお勧めです。

と、人様には推薦しながら、私は京都旅屋の資料集めとして6つ全てを見てきました。陣取ったのは船岡山。6つのうち鳥居形を除く5つが見えることで知られています。ただ、同時に5つ見える場所はありませんので、少しずつ移動して見ることになります。この山も難易度は中くらいで、初めて送り火を見る初心者にはあまりお勧めはしません。山であるため足元が危ういことと、最も見晴らしがよい場所には人が殺到し、移動ももみくちゃになるためです。

私は、まず建勲神社へ向かいました。こちらの本殿前から真正面に大文字山が臨めます。ここは比較的空いていますが、地元の方が集まってくる場所のようです。点火時間が近づくと、人の流れを見てやってきた方々も集まって来ます。点火直前はぎゅうぎゅう詰めになっていました。まず大文字が点火。人々からは歓声が上がります。先祖を送る火、亡くなった方を送る火。今年は特別な意味もある炎です。美しいだけではない様々な思いのこもった明かりだったのでしょう。

さて、ここからが私にとっては勝負の時間帯です。大文字見物も早々に引き上げ、全く明かりのない暗闇の抜け道を通って船岡山の山頂へ。左大文字も点灯が始まっていました。左大文字は書き順に沿って炎がともっていきます。林の間から「妙・法」が見られましたが、少し下って別な場所を狙います。

「妙・法」は林の間から奇跡的に見ることができました。人一人分くらいの隙間です。距離が遠く、精一杯のズームをするとブレやすくなり撮影はなかなか困難でした。そしてやはり人が多い。

「船形」は船岡山からは下が欠けてしまいます。そしてこちらも人が殺到し、困難を極めましたがなんとか撮影に成功。次にふたたび山頂付近に戻り、左大文字を撮影。こちらは距離も近く、大変美しく見ることが出来ました。学生時代に住んでいたマンションの部屋から、左大文字がよく見えたことを懐かしく思い出します。

さて、残す最後は鳥居形。五山の送り火ではこの鳥居形が西に離れ、かつ南にありますので、見るのが最も難しいでしょう。私は自転車できぬかけの道を通り、広沢池を目指しました。かなり厳しい道のりですが、なんとか到着し、消灯間際の鳥居形を見ることができました。ふらふらになりながら撮ったのがこの一枚です。見事に手振れしていますね…。その後、場所を探し三脚を用意している間に鳥居形の炎が消えて行ってしまいました。残念ですが、美しい写真はまた来年以降にとっておきましょう。

広沢池では、灯篭流しが行われ、大変美しく幻想的な光景で迎えてくれました。しんどい思いをしながらも、6つの送り火を全て見られた感動もあり、私にとっても非常に感慨深い光景でした。鳥居形は「火が走る」とも言われ、炎が動きながら鳥居の形になっていくのが特徴です。私もまだ直接見たことはありませんが、いつかじっくり眺めてみたいと思います。

それにしても、広沢池は本当に美しい。京都のお盆を追いかけてきましたが、最後にこういった美しい光景を見られてとても幸運です。お盆の行事、送り火は地元の方が先祖を送るためのもので、観光客的なただ「美しい」だけのものではないのだと思います。しかし、純粋に京都の各地で本当にさまざまな美しい催しがあるのだと、改めて感じた今年のお盆でした。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として9年目。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。散策メニューはこちらから

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