台風12号の記録的な大雨


台風12号は非常にゆっくりした速度で進み、日本の気象観測史に残る記録的な雨を降らせています。
昨日の予想ではもう少し早く進んでいく予想でしたが、一向に速度が上がりませんでした。ようやく時速10km程で進んでいます。動きが遅い分、同じような場所で長時間大雨を降らせる結果となっています。特に紀伊半島南部や四国東部山沿いで甚だしく、72時間雨量で軒並み観測史上1位を更新しています。この地域はもともと雨が多いため、奈良県の上北山では1300mmを超え、和歌山の本宮も1000mm目前とケタ違いの数字が出ています。1000mmもの雨はペットボトル(500ml)で2000本もの量をたった1m四方に降らせる換算。想像だにできない雨量です。
四国の雨は峠を超えましたが、紀伊半島では未だに強く降り続いており、19時現在では岡山や兵庫西部でも河川水位の上昇により大規模な避難勧告が出されています。鳥取も大山(だいせん)などで観測史上1位を大幅に更新する雨を観測し、被害が出ています。これらの地域は引き続き雨が降り続けるため、早めに安全を確保して下さい。その他、北海道~西日本に至るまで太平洋側の各地で土砂災害の警戒が必要な地域が多発。また、その副作用で、山を越えた日本海側ではフェーン現象が発生し、観測史上1位の高温を記録している場所もあります。
まだ時中ですが、気象災害史には出来る限り残ることが無いよう大規模な災害が出ないことを切に願います。近年は情報網が発達している効果か、ゆっくりとした浸水であれば人が亡くなることは規模に比して希になっています。土砂災害が最も危険ですが、早めに避難をすれば命は助かります。
3日18時発表の予報によると、台風は4日朝にかけても時速10~15kmとゆっくりとした速度で進みます。暴風域は、じきに消滅し、雨は4日午前中には峠を超えそうですが、その後も夜にかけて降りやすいため少しの雨でも土砂災害には警戒が必要です。
最後に、京都では今以上に風が強まる可能性は低そうですが、明日の吹き返しには注意が必要です。雨も紀伊山地の下流で雨雲が弱まっていますが、この後4日明け方にかけてピークを予想する計算結果があるため、状況には注意が必要です。台風は僅かの位置のずれで被害が極端に変わります。いざというときのために避難場所を確認する、防災マップを見るなど、この機会に災害シュミレーションを進めて頂きたいと思います。なお、昨日の京都の動画と各地の写真をまとめています。

以下、参考となるページへのリンクを記載します。

  • 台風情報 → 必ず最新情報をご確認ください。
  • 気象庁 警報・注意報 → 注警報文から暴風・大雨の見通しや土砂災害警戒情報などが分かります。
  • 川の防災情報 → 河川水位とアメダスに載っていない雨量も分かります。川が心配な時は現地へ見に行くのではなく、まずこれを見ましょう。避難判断水位なども分かりやすく出ています。だだし、水位は必ず「10分毎」で見て下さい。基本設定が「1時間毎」になっているという重大な欠陥があります。豪雨時にはほんの10分で大幅に水位が上がることもよくあります。
  • 避難勧告 → 避難勧告や避難準備情報は市のホームページに記載されます。市町村によっては問い合わせをすればメールで届けてもらうこともできます。
  • 防災情報ポータル → 各都道府県がこのようなページを設けていることも多いです。「災害情報+都道府県名」でネット検索してみて下さい。
ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として9年目。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。散策メニューはこちらから

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