8日は二十四節気の一つ、白露(はくろ)。気温が下がってきて露が白く結ぶころです。
露が降りるのは晴れて気温が下がる朝。朝露はすぐに消えてしまうので、儚いものの例えともなっていて「月の雫」と言えば、それは露のこと。月と一緒にいつの間にか現れ、朝日が昇ると消えて行く。そして、その日は「晴れ」となる。「朝露は晴れ」という言葉もあり、快晴の空で一日が始まるのです。今回も、嵐電の京都の二十四節気の動画をご覧ください。毎回素晴らしい映像だと思います。
実はこの白露や10月下旬の霜降などは、近年季節感のずれを指摘されます。地球温暖化や都市化によるヒートアイランドと乾燥化で、街中では露が結び・霜が降りる時期は遅くなっているのは確かだと思います。
具体的に考えてみましょう。京都が秋の空気に覆われた6日、14時の気温は28.6℃で湿度は38%でした。この時、専門的な計算をすると、1立方メートルに含まれている水蒸気量は約10.7g。これが空気中に含みきれなくなると「露」になるわけです。空気に含むことができる水蒸気の絶対量は気温が下がると少なくなります。つまり、10.7gの水蒸気が1立方メートルの空気に含みきれなくなる気温が、「露」の出来る気温。導き出される温度は約12℃です。
現実には7日朝の気温は16.5℃。ただ、気温は地上1.5mで観測していますので、地面付近では一般的に3℃ほど低い13.5℃くらいと考えられますが、それでも露ができるにはやや遠いか。しかし9月上旬で16.5℃まで下がるのは、戦前の記録と見比べても低い方。もし、上記で前提となる湿度が45%となれば、結露までの気温は14.7℃に上がってきて、露が結ぶ可能性は十分にあったことが分かります。今年は珍しく「白露」にふさわしい気候になったと言えるでしょう。
7日は大原まで行ってきました。この日は天気が快晴で、気持ちのよい秋晴れ。何日も前からこの日の天気は見えていたので、大原へ行こうと決めていました。予報士であることはこうしてお出かけにはとても便利です。今回、初めて自転車で大原を走りましたが、やはり長閑な場所だと感じます。夕暮れの映像がありますので、是非ご覧ください。虫の音が響き、月が昇り、癒される雰囲気があります。この日、大原では露が白く結んでいたのかもしれません。
また近いうちに大原へは行こうと思いますので、より秋らしい写真をお伝えできればよいですね。
ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として9年目。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。散策メニューはこちらから。