北緯35°の四条通


四条河原町の交差点の南東角に、北緯35°の碑があります。実は四条通は、ほぼ北緯35°(日本測地系、以下同)なのです。
正確には四条通の南約61m、綾小路通とのちょうど中間付近が北緯35°に当たります。京都の道はまっすぐ走っていますので四条通や綾小路通は北緯35°に沿っていると見てよいでしょう。(なお、世界測地系では南へずれて北緯35°は高辻通付近になります。)
緯度1°は約111kmです。北緯40°は秋田市よりも北にあり、北緯30°は九州の南にある屋久島よりもさらに南の場所です。そのスケールの中で、きりの良い北緯35°が京都の街のド真ん中を走っていることは、もっとPRしてもよいのではと思います。

北緯35°をたどる

同じ北緯35°をたどっていくと、意外なことに気が付きます。
東では、千葉県の館山市と同じ緯度。館山市は房総半島の南の先端部近くで、私が以前に市役所へお邪魔した時には職員はアロハシャツを着て仕事をされていました。街にも南国風の木が植わっています。関東の感覚ではずいぶん南の街ですが、京都と同じ緯度なのです。
一方の西では対馬。古代には、朝鮮半島から対馬・壱岐を経て中国からの使者が九州に上陸したことは知られています。九州本土よりはかなり北西にあるイメージです。ところが、京都と比べると対馬はまだ南にあります。それだけ九州が南にあることが見えてきます。
太平洋沿いは綺麗に東西に並んでいるように錯覚しがちですが、実際には本州~四国~九州は「ナナメ」に横たわっているのです。緯度をまっすぐに引いた地図で、日本の「ナナメ」ぶりを感じてみて下さい。

気象と緯度

気象の世界では緯度はかなり重要で、大きく見ると気候が変わったり、日々の天気予報の中でも寒気の南下具合を見ていると、緯度によってかなり異なっています。金沢と京都は2時間と少しで移動できますが、ほぼ北へ移動していくので上空の気温がずいぶんと違うこともあります。
さらには物理の法則のなせる技で、緯度によって同じ等圧線の混み具合でも風の吹き方がずいぶんと変わります(興味をお持ちの方は過去の記事も参照下さい)。天気図はよく見ているといろいろな「不思議」が隠れています。
35°線をさらに伸ばしていくと、アフリカにまでたどり着きます。ヨーロッパから見れば日本はずいぶん南の島。長野オリンピックは冬季オリンピックとしては最も南で開かれていて、日本に降る雪は世界の気象の常識では「南の島の雪」だと言えるでしょう。
京都の観光促進のために同じ緯度の街から代表や物産を集め、「北緯35°サミット」を開いて、同じ太陽の傾きでも各地の気候や文化が違っているのを語りあうのも、きっと面白いのではと感じます。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として9年目。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。散策メニューはこちらから

より大きな地図で 北緯35°の碑 を表示

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