浄福寺本堂 最古の違法建築物


浄福寺の本堂が特別公開されています。面白いのが「最古の違法建築物」としてPRしていること。さて真偽のほどは!?

浄福寺は西陣にあるお寺、千本通の1本西にある浄福寺通の名前でも知られ、通りに面した「赤門」が印象的です。この秋の京都非公開文化財特別公開で、本堂が初めて公開されました。本堂(写真)は外から見ると、一見左手側だけのように見えるのですが、実は右手側の建物とも繋がっていて、中に入ると広々とした空間となっているのです。これが、江戸時代に作られたおきて「三間梁(さんげんはり)規制」に違反するということで最古の違法建築と言われています。

三間梁規制とは、建物の大きさを三間(畳縦三畳分)すなわち約5.4mまでに規制するもの。江戸時代の前期に定められ、徳川吉宗による享保の改革で厳格に適用されるようになりました。しかし折悪く、1730年の享保の大火で浄福寺ではそれまでの本堂は焼失してしまい、再建時にはこの規制の対象とならざるをえません。お寺では檀家を集めて法要を行うために広い場所を確保する必要があり、狭い本堂では意味がない。ということで一計を案じ、外観は別棟のようにして中はこっそりつなげて広くしました。再建は1733年のことです。

その後、1788年には京都を広く焼いた天明の大火が起こります。西陣も例外ではなかったのですが、なんと浄福寺では、ご神木のモチの木の上に鞍馬天狗が降り立ち、大うちわで火が近寄らないように仰いで、延焼を防いだと言われています。そんな由来から赤門の脇では、護法大権現として天狗を祀っています。鞍馬寺の本尊である尊天の一人も護法魔王尊(サナートクマラ)と言いますね。

浄福寺では他にも土佐光信による十王図が見られ、住職によるその絵解きも盛況です。人が死後浄土へ行くまでの49日の道のりでは、7日ごとに裁判官により生前の行いについて審査を受けます。49日で7人。これに加えて100日、1周忌、3回忌の3人を加えて十王というわけです。その5人目が有名な閻魔大王。それまでの口頭審査で嘘をついてしまうと、閻魔様にここで舌を抜かれてしまうんですね。住職さんの絵解き詳細は是非現地でお聞きください。さすが話がお上手です。

浄福寺の公開は11月6日まで。9:00~16:00で、拝観料は800円です。絵解きは時間を決めて行われています。写真撮影は不可ですが、お庭も大変美しく、さらには見事な天井龍である「鳴龍」も見ることができますよ。浄土双六もユニークです。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年目。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。散策メニューはこちらから

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