小寒の京都 寒の入り


6日は二十四節気の一つ小寒(しょうかん)です。

今回も嵐電の動画をご覧ください。暦便覧では「冬至より一陽起こる故に陰気に逆らふ故、益々冷える也」と表現されています。冬至から立春にかけての時期は、日の長さと気温が逆転をしています。それにしても暦便覧のこの文章は味わい深い。最も昼の短い冬至から陽が伸びて、冷たい空気に逆らおうとするから一層冷えるのだといっています。流れに逆らうのは逆効果だとでもいわんかのようです。

この小寒から「寒の入り」となり、立春までが「寒中」。一年で最も寒い約30日間。年賀状が遅くなってしまった場合は、寒中見舞いとして出す手もあります。寒ブリなどの「寒」の付く食材を食べて寒さを乗り切る、薬食いをされる方もいることでしょう。日脚の伸びはまだ僅かで、寒さの底はまだこれから。しかしそんな”逆境”の中でもこつこつと日脚は伸びて行き、「光の春」も近づいてきます。”腐ること無く日々努力を怠るなよ”と言われているような気がしますね。春の桜も、寒さがあってこそ美しい花を咲かせるものです。

毎年、小寒の頃が日の出が最も遅くなります。今年の京都では1月8日が最も遅くて07時06分。ちなみに、この時刻は地平線から太陽の上が出てくる時刻で、山に囲まれている京都の実際の日の出は、山の仰角によって10~20分程度遅くなります。反対に日の入りは天文台の発表よりも早くなるわけです。また、実は太陽と地球の距離が最も近くなるのも今の時期で、今年は1月5日。まさに昨日でした。太陽との距離が近づけば地球が受ける光や熱のエネルギーも多くなり、最も離れている頃と比べると7%も増加しているそう。にも関わらず、寒くなるというのもまた面白い。地軸の傾きが及ぼす影響は、太陽との距離の変化よりもずっと大きいことの証明ですね。子どもから夏や冬がある理由を聞かれて「太陽との距離が、近くなったり遠くなったりしているからだよ」と答えるのは、不正解というわけです。

昨日5日の京都は雪がうっすらと積もりました。下鴨神社でも屋根が白く染まり、赤の楼門をひきたてていました。河合神社では、少しひなびた屋根に積もる雪がなんとも言えない風情を醸し出します。雪の降る朝は非常に寒く、起きるのも外に出るのも根性が要りますが、それに見合う価値もあります。

今年は辰年。辰は龍として、今年は脚光浴びています。龍は天気を変える力を持ち、特に雨を降らせると信じられています。神泉苑の善女龍王社に初詣に行かれた「通」な方もおられるでしょうか。気象の世界では、雨は常にほどほどであってほしいと思います。昨年は、観測史上歴代1位の数字として、新潟・福島豪雨で10分間で50mmが記録され、日降水量では高知の魚梁瀬(やなせ)で851.5mmの数字も残されました。和歌山・奈良の豪雨もありました。今年ばかりは皆の崇敬で龍には鎮まって頂いて、豪雨災害が起こらないようにと願うばかりです。かといって、雨が降らないのも困りますので、ほどほどであってほしいですね。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年目。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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