京都の十日えびす


1月10日の前後は、十日えびす。京都では最も賑わう恵比須神社を始め、行事や特別公開が行われている所があります。

恵比須神は、商売繁盛のご利益、七福神の一人として知られ、唯一の日本古来からの神様といわれています。ただ、どの神に当てるかは諸説あり神社によっても定まっていませんが、古事記の中でイザナギとイザナミがオノゴロ島で国産みをする際に、最初に生まれた神であった蛭子(ヒルコ)神であるとする説は有名でしょうか。蛭子神は諸般の事情で海に流され、一説ではたどり着いたのが兵庫の西宮。福男競びの激しい競争でも知られる、西宮神社はこの話が創建の由来となっています。関西では賑わう1月10日の十日えびすですが、実は関東には無いそうです。風習とは面白いものですね。

京都で最も有名なのは、四条大和大路を下がった場所にある恵比須神社です(なお、表記は「ゑびす」「恵比須」「恵比寿」「戎」などがありますが、神社名は京都検定公式テキストに載っている「恵比須神社」で統一させて下さい。神様名は恵比須と記載します)。さて、この恵比須神社の境内はそれほど広くはありませんが、10日を中心とする前後2日間、すなわち8日から12日の5日間は、非常に多くの人が訪れて商売繁盛を祈り、福笹を求めています。耳が遠いとされる恵比須様に届くよう、本殿の横をドンドンと叩いて行く様子もユニークですね。会社帰りの方のために夜も開門されていますので、大いに賑わうことでしょう。

例年、期間前半の早朝には東映太秦映画村の役者さんたちによる「宝恵かご」での参拝があり、この時には境内はさながら時代をタイムスリップしたかのような雰囲気です。「ほえかご ほい」の掛け声はテレビなどでもおなじみですね。混雑を避けるためか、予定の時刻よりも少し早めに来られることが多いようです。社参の様子は動画もありますのでご覧ください。

次に有名なのは、八坂神社の北向蛭子社でしょう。平安時代から祀られたとされ、珍しく北向きに構える社殿は重要文化財です。大阪の今宮戎神社は、この八坂神社の恵比須様を遷してお祀りしたのが始まりです。9日の夕方には「えびす船」の巡行があり、恵比須様だけでなく七福神が乗った華やかな船と、福娘と呼ばれる若い女性が福笹を配って四条通を練り歩きました。福娘は全国からの公募で選ばれていますが、かなりの人気だそうです。まさに名誉ですね。各お店で福笹を配っていく様子は昔ながらの光景なのでしょう。巡行の様子は動画もありますので、ご覧ください。

八坂神社では三社参も行われています。北向蛭子社・大黒社・本殿をお参りして朱印を集めるものです。専用の用紙が境内に置かれていますので、集めて持ち帰るのもよいでしょう。境内には軽快な「商売繁盛で笹もってこい♪」のお囃子も流れて華やかな雰囲気です。

他にも、粟田神社には「出世恵美須神社」があり、9日から11日にかけて、神像が公開されています。伝教大師(最澄)の作とされ、手に鯛と竿をもった笑顔の恵比須様の木像です。元は、三条蹴上に地名が残る夷谷に祀られていたとされ、義経が奥州へと向かう際には源氏再興を祈願したといわれています。その後、500年ほど前に山崩れが発生して恵比須様も流されますが、なんとか止まった場所が三条神宮道に地名が残る夷町。明治まではその地にあったお寺に祀られていたそうですが、やがて粟田神社へと遷されました。一年間で三日間だけの公開ですので、是非一度ご覧になって頂きたい恵比須様。社の前では珍しい子持ちの狛犬も見られます。粟田神社でも福笹の授与や、甘酒の無料接待も行われています。

また、昨日の十六社朱印めぐりの記事でも紹介した熊野若王子神社にも恵比須様が祀られており、「まるたけえびすにおしおいけ」の通りの童歌でも知られる「夷川通」の由来ともなった恵比須像が公開され、十日えびすの期間中は直接拝むことができます。等身大と伝わる、なかなか立派な恵比須様です。

最後は、護浄院。三宝清荒神が祀られ、「荒神口」の地名の由来ともなっているお寺です。こちらには「京都七福神」の恵比須様も祀られています。が、一般的には「京の(之)七福神」の福禄寿の方が知られているかもしれません。ややこしい話ですが、京都で七福神めぐりといった場合、「都七福神」「京都七福神」「京の七福神」などいくつもの似た名前の巡拝路があります。しかもそれぞれで重なっていたりもするので、なおさらややこしい。護浄院は「京の七福神→福禄寿」、「京都七福神→恵比須」です。さて、こちらの恵比須神。一見境内を見渡したところ、祀られているらしき場所も案内も見つけることができません。「京の七福神」の福禄寿の案内はあるのですが、「京都七福神」の方は不人気なのでしょうか。お寺の方にお伺いしたところ、福禄寿と一緒に祀られているとのことでした。

なお、昨日9日は泉涌寺で七福神巡りが行われ、福笹を求めて多くの方で賑わいました。こちらの恵比須様は今熊野観音寺にいらっしゃいます。他にもまして長い列が出来ていました。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年目。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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