聖護院・寒中托鉢出発式


8日に、聖護院では寒中托鉢出発式が行われました。

聖護院は、本山修験宗の総本山です。大河ドラマの平清盛にも出てくる白河上皇の時代に、修験僧として名を馳せていた増誉(ぞうよ)大僧正が、上皇の熊野詣に際して先達を務め、その功績によって聖体護持の2字を取って寺を賜ったのが始まりになります。その後、後白河天皇の皇子が門跡(門主・住職)として入寺してからは、明治時代まで37代にわたり、皇室・摂関家から門主を迎えた由緒のあるお寺です。現代の天皇家につながる、考格天皇や孝明天皇も仮御所として聖護院を使用したこともありました。

聖護院は、辺りの地名としての「聖護院八ツ橋」「聖護院だいこん」などでも知られているでしょう。明治時代までは鴨川にかけて森が広がっており、聖護院は「森御殿」とも呼ばれていたそうです。さて、修験道は日本古来からの山岳信仰と仏教が結びついたもので、日本独自の信仰形態です。厳しい山々で修行し、困苦を忍び、心身を修練して、やがては悟りを開き即身即仏を目指します。山伏といえば、テレビのイメージで悪役ということを思い浮かべる方もおられるかもしれませんが、もちろんそんなことは全くありません。ちなみに、山伏の独特な衣装は宗派や階級によって細かく決まっており、見る人が見れば即座にその人の山伏としての情報が一目でわかるそうです。偽山伏かも、すぐにわかってしまうそうですよ!

寒中托鉢は今年で72回目の伝統行事で、毎年この時期(8日から14日)に行われています。また、東日本大震災を受けて、義援金集めに毎月11日にも托鉢をされているそうです。出発式では大勢の修験者が一斉に法螺貝を吹き、列を組んで門から出て行く様子は圧巻です。山伏の象徴ともいえる法螺貝もその吹き方には作法があり、宗派によって微妙に違うそうです。出発式の様子は動画もありますので、ご覧ください。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年目。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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