金閣寺の雪化粧


12日早朝は市街地でもうっすらと雪が積もりました。雪化粧をした金閣寺は朝日を浴びて輝き、穏やかな水面には美しい逆さ金閣も姿を見せてくれました。

11日の晩も恵比須神社へと出かけていたのですが、雪が舞う大変寒い中でも会社帰りのサラリーマンらで賑わっていました。福笹を配られていた舞妓さんも非常に寒そうにされていました。その雪は明け方までじわじわと続き、朝にはうっすらと積もりました。雪が積もったといえば、今年ずっと機会をうかがっているのが北野天満宮・影向松の「初雪祭」。しっかりと積もらねば行われず、残念ながら今回も見送られました。残り約半月。チャンスはあるのでしょうか・・・。ただ、境内では早くもチラホラと花をほころばせている梅の木が!積もった雪の中に咲く梅の花は、遠くない春を告げているかのようでした。

次に向かったのは金閣寺。日中は天気が徐々に回復傾向であることは分かっており、雪化粧で朝日に輝く金閣寺を狙うには絶好の機会!!さらに高気圧が張り出して風も穏やかになってくる。見事な雪化粧の「逆さ金閣」も見られるに違いない。自分で書くのもなんですが、予報士のスキルはこのように便利です。しかし日差しの力は強力で、うっすら積もった雪をあっという間に溶かしてしまいます。今回も気象台で積雪は観測されませんでしたが、私の感覚では今シーズンで一番積もってはいますので、残っていることを願いつつ9時半頃に入ります。

結果は、見立て通りの光景に出会えました。雪は写真を撮っている間にもどんどん溶けていましたが、雪化粧をし、日差しに輝くその姿。そして穏やかな水面に映る逆さ金閣。一年の間でも何度も見られないであろう、素晴らしいタイミングです。平日ということもあってか、人も少なめ。幸運でした。贅沢を言えば、雪の量が少なく、周りの木々や山々に雪が残っていなかったこと。さらに美しい光景をお届けするのは、またの機会にゆだねましょう。なお、素人の撮影で申し訳ありませんが、今回の光景は動画もありますのでよければご覧ください。

金閣寺の象徴である金色の舎利殿は、一層目は貴族の時代の寝殿造、二層目は武家造、最上階の三層目は禅宗の造で、屋根には天下を治める者が正しい政治を行った際に舞い降りるという鳳凰も。金閣は、わずか10歳で将軍になった義満がたどり着いた、栄華の極みだったのでしょう。創建した当時は最上階のみが金箔で、二層目は黒漆(くろうるし)だったという説もあります。いずれにせよ、それだけ金は貴重だったといえそうです。残念ながら当時の建物は、60年ほど前の1950年に放火によって焼失し、5年後に多くの方々の寄付を中心に再建されました。

しかし再建から10年を経て、金箔が剥げ出してしまいます。室内と違い、直射日光による紫外線や風雨にさらされる環境は、通常の金箔では長く持たなかったようです。ということで、1986年から当時のお金で約7億4千万円もの金額を投じて金箔の張り替えが行われ、現在の輝きとなりました。実は、焼けてしまう前の金閣の屋根に輝いていた鳳凰は、焼失を免れて現存しています。義満も眺めたであろう鳳凰をいつか見てみたいものですね。

金閣に貼られている金箔は、10cm四方のものがおよそ20万枚で、通常の5倍の厚さで貼られています。全体としての金の重量はなんと約20kgもあるそう。現在でも金箔を用意しているそうで、はがれたりしている部分が見つかれば補修をしているとのことです。世界中を楽しませるあの輝きには見えない「重み」が隠れているのですね。

また、誰もが一度は入ってみたいと考える金閣の建物内。なんと明治時代の一時期、金閣寺には大きな橋がつけられ観光客が中に入ることができました。実際に金閣寺の建物から庭を眺めている写真が残っています。ただ、当時は創建から600年近くを経て、金箔はすっかりはげてしまっていたそう。やはり、黄金色に輝く金閣に入れるのは、今も昔も限られた機会なのでしょう。また、金閣寺のルーツである北山殿を築いた足利義満は、この地に七重塔も建てていました。塔は12年後に焼失をしてしまいましたが、もし残っていれば・・・と、想像してみるのも面白いですね。

輝く舎利殿に名残を惜しんで奥へと進むと、雪に包まれた茶室・夕佳亭(せっかてい)も現れます。現在の建物は再建ですが、元は江戸時代の茶人・金森宗和好みの茶室です。この場所は高台で、夕日に映える金閣の眺めがことのほかよい(佳い)ことから、夕佳亭と名付けられました。宗和は岐阜県は飛騨出身の茶人で、このような雪につららが下がる光景が、もしかするとこの茶室には合っているのやもしれません。茶室内では見事な南天の床柱も見どころの一つです。

最後に。休日で雪の降る時は、大勢の方が雪の金閣を目当てで訪れることがあります。しかし、写真を取れる場所が限られているため、優雅な光景とは裏腹に「傘があたった」「写真が撮れない」などなど、残念なことに殺伐とした雰囲気になることもありました。あらかじめ心づもりをもって、比較的人出の少ない早い時間帯に行かれるとよいでしょう。金閣寺の拝観は午前9時からです。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年目。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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