法界寺の裸踊り


14日の夜は、法界寺の阿弥陀堂で裸踊りが行われました。

この裸踊り、実際に見たことのある方は多くはないかもしれませんが、知っているという方は比較的多い行事かもしれません。裸踊りは、法界寺で元旦より(正月七日からと記載の本もある)行われている修正会(しゅしょうえ)の結願行事。修正会は、前年の行いを省み、新年の五穀豊穣などを願う法要です。裸踊りの前にも本堂(薬師堂)で法要が行われました。

法界寺は平安時代の1051年に、最澄自作といわれる薬師如来の小像を、新しく作った一回り大きな薬師如来像の胎内に収め、像を安置する薬師堂が創建されたのが始まりです。この薬師像は、古くから安産と授乳にご利益がある乳薬師として信仰されていますが、このように胎内に小像を隠していることから来ていると考えられています。なお、この薬師像は秘仏で残念ながら直接拝むことはできません。

裸踊りは、まず少年たちが披露してくれます。それもあってか境内には地元の子供たちがたくさん。子どもたちは走って現れると、元気に「頂礼(ちょうらい)、頂礼」と声を上げ、手を上にあげて両手を合わせ、体と体をぶつけ合います。頂礼とは、「頂礼礼拝」の略で、仏に対して最高の敬礼を行うことだそうです。両手・両膝・額を地につけて平伏す五体投地とも同じ意味だそう。語源をたどればやや仰々しいですが、裸踊りでは皆で踊るきっかけともなる明るい掛け声として使われているように感じます。

子どもたちは結構長い時間、休憩をはさみつつ踊っていました。面白いのは指示する大人たちとの掛け合い。「前に行かんとお父さんたちのカメラに映らへんぞ~!」「テレビに映らへんぞ~!」など、笑いも起きていました。そして最初のうちは元気がよいのですが、だんだんと疲れてきて声が小さくなっていきます。でも休憩をするとすぐに回復をして、また元気な声を上げるのも子どもの素晴らしいところでしょう。子どもたちの中には、法界寺の腹帯にお世話になった子もいるかもしれません。近くには団地もあって、比較的子どもたちの数は多そうで、こうして伝統が受け継がれて行くのは素晴らしいことだと思います。

続いて、大人たちによる裸踊り。大人は水垢離(みずごり)といい、早くいえば水をかぶって身を清めてから裸踊りに臨みます。やはり大人は迫力が違います!体をぶつけ合う勢いがあって、やがて体が温まってくると湯気も出てきます。休憩の間には阿弥陀堂の廊下に落ちた水や汗を拭いている様子も印象的。踊っている方々が巻いているふんどしは、妊婦の腹帯として使うと安産になると信仰されています。この日の気温はおよそ5℃!通常ならコートが必要で温かいものが食べたくなるような気温でしたが、踊られている方々は寒さを全く感じさせません。私の方は、阿弥陀堂前で午後6時過ぎから場所取りをしていて、踊りが始まるまで約1時間半、震えながら待っていました。まだまだ修行が足りませんね(笑)熱心なカメラマン以外にも、外国の方も早くから待っておられました。やはり興味深い風習だと思われているのでしょうか。

踊りが終わると、お坊さんたちによりお加持が行われます。多くの参拝者が頭を棒(おそらく柳の木)であてて頂いていました。小さな子どもたちが、笑顔で待っているのが印象的でした。本当に地元に根付いた行事なのだなと感じます。他にも牛玉宝印札も授与されているようで、虫よけの札として信仰されているようです。なお、今回は触れませんでしたが、阿弥陀堂内部の仏様や壁画も必見に値するものです。是非、お昼間にも訪れてみて下さい。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年目。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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