上賀茂神社 武射神事 2012年


16日には上賀茂神社武射神事(ぶしゃじんじ)が行われました。

武射神事は、宮中の建礼門前で射礼(じゃらい)の儀として行われていた魔除け神事を由来としています。やがて社会全体の厄除けも願い、近年は武技奨励の行事としても行われ、上賀茂神社では昭和10年ころから再興されているそうです。

本殿での神事の後、まず蟇目(ひきめ)の儀が行われます。ここで射るのは鏑矢(かぶらや)で、射ると「ポー」という音がします。鏑矢といえば思い出すのは平家物語に出てくる那須与一。彼が射る場面は「ひやうど放つ(”ひょう”と放った)」と表現されています。かの時代から同じ音なのでしょうか。実際にどのような音かは動画もありますので、ご覧ください。

さて、この「ひきめ」の由来は、鏑矢の音がヒキガエル(蟇蛙)の鳴き声に似ているからだとか、あるいは音を出すために鏑矢に開いている穴がヒキガエルの目に似ているからだともいわれています。射る前には的に魔性のものを集める言葉を唱え、鏑矢を射て退散させます。次に、神職が的を射ます。上賀茂神社の創建伝説には丹塗りの矢が出てくる関係で、射る矢は丹塗りの矢。的までは40mあり、普段から弓道を行っていないものが当てるのは難しい距離だそうですが、「当たらないと縁起が悪いのでは」ということで、神職の方は前日に猛特訓をされたそう。その甲斐あってか、見事に的中させていました。

続いて、弓馬術礼法小笠原流・近畿菱友会(りょうゆうかい)の皆様により、6名~7名がづつ3組に分かれて百手式(百々手式・ももてしき)が行われます。百手式とは、二本の矢で一手と数え、これを10人で10回行うことで百手となるのですが、ここではその形式にのっとって行われ、実際に「百手」までは射ません。的は神職らが射た厄払い用のものからは変えられます。

最初に式の開始が宣言されます。その後、最初の組(前弓)が出て、一同が同じ所作で準備を行います。これら全てに作法があり、組によっても異なっている部分があるようです。弓は一人づつ数秒ほどずらして放って行きます。さすが、ほとんどの矢が的に当たります。ただ、普段は自分のリズムで矢を射られますが、ここではタイミングを合わせて射らなければならないため、結構難しいそうです。二組目は、全員が女性の方でした。衣装は男性の直垂(ひたたれ)から水干(すいかん)に変わります。こちらも凛々しい所作で見事に的を的中させていました。

三組目も見事に的中させ、矢は的を貫通して通りぬけて行きます。持たれている弓にも種類があり、籐(トウ)を巻いたことが由来で最上級の重籐(しげとう)弓、七・五・三の模様が付いている相位弓、他にも修善弓などは、精進を積んだ者でないと手にすることが許されないものだそうです。射手の他にも、それを補助する介添(かいぞえ)、当たりを判定する的奉行や、当たったことを周りに示す白い采(ざい)をあげる采揚(ざいあげ)、矢を拾う矢取りなども作法に則って役割を果たしていきました。

儀式が終わった後は、お神酒を頂き、神職と小笠原流の皆様は二の鳥居の前で記念撮影です。私も後ろから写真を撮らせていただきました。寒い中お疲れ様でした。

また、同じ日の午後には藤森神社でも同様の神事が行われました。こちらでは的の表に「鬼」の文字が三つ書かれておりユニークです。矢を射るのは神職の方と地元の氏子さんの代表者。比較的、和気あいあいとした神事でした。例年は当たらないことも多いそうですが、今年はよく当たっていたそうです。2012年は厄の少ない年であってほしいですね。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年目。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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