積雪の京都 南禅寺境内


18日の積雪の京都。今回は南禅寺です。

平安神宮からの朝日、その後の真如堂や哲学の道の様子は昨日までのブログをご覧ください。さて、哲学の道を南下した後、南禅寺へと向かいました。そろそろ時刻は午前9時を迎え、人も増えてきました。南禅寺では拝観も始まります。境内一面の雪景色と、山門や法堂などの大型の建物もまた素晴らしい。今回は南禅院と天授庵、そして山門へも上って来ました。

南禅寺といえば、有名なのが赤レンガ造りの水路閣。白黒の世界では、このような色のある建物が絵になりますね。

半ば衝動的に入ったのが南禅院。少し覗いて、中の雰囲気のよさにひかれました。私がこの日最初の拝観者で、お庭の道はまだ雪かきをされている途中でした。南禅院のお庭は国の史跡・名勝に指定されており、肩書としてはかなり高い方に入るお庭。天龍寺、苔寺で知られる西芳寺と並んで、夢窓疎石による作庭と伝わり、京都の三名勝史跡庭園の一つです。(なお、亀山上皇による作庭説も知られていますが、ここではお寺の説明書きにある夢窓疎石の作庭と記載しました。)

さらに南禅院は、南禅寺発祥の地。鎌倉時代、亀山上皇の離宮がこの場所にあり、襖がひとりでに開くなどの妖怪騒ぎが起こります。当時もっとも有名なお坊さんに念じさせても一向に収まる気配がないため、上皇は困り果ててしまいます。あるとき、東福寺の高僧・無関普門(むかんふもん)に相談をしたところ、彼は弟子とともに離宮に入り、読経をするでもなくただ座禅の修行を続けただけで、騒ぎを収めてしまうのです。こうして亀山上皇は無関普門に厚く信仰心を寄せ、ついには離宮そのものをお寺としたのが南禅寺の始まりです。この南禅院のお庭は池泉回遊式の庭園で、亀山上皇の離宮時代のおもかげを残す庭園として大変価値が高いため、国の史跡(+名勝)に指定されています。

今でもお庭は深い木々に囲まれ、本堂は閑寂の佇まいを持ちます。池の周りをゆっくりと歩き、本堂に目を向ければ、雪に包まれた古の風景も感じることができます。まだお寺の方しか踏んでいない雪を踏みしめて歩けるのも、早起きしたかいがありました。

続いて、天授庵に向かいました。こちらも四季折々にお庭や紅葉が美しいお寺です。天授庵には枯山水と池泉回遊式の庭があります。石の起伏の少ない枯山水の庭園は、積雪が多いと埋まり一面の雪原となることがあるため、好みが分かれるところでしょう。回遊式の庭園は池に木橋や飛び石もあってなかなか面白い。池は鏡のように景色を映して、複雑な模様を描いていました。

なお、秋には建物からお庭を眺める夜間拝観もありますが、通常はお庭を散策するのみとなります。ただ、入口から建物を通したお庭の写真を撮ることはできます。少しズームのきくカメラで撮るのがお勧めです。

天授庵を後にして、いよいよ三門に上りました。石川五右衛門の「絶景かな!絶景かな!」で知られていますが、やはり眺めは素晴らしい。ちなみに各お寺で山門(三門)からの景色を写真に収めたい方は、必ず受付で確認をされるてからがよいでしょう。中には景色も撮影禁止の場所もあります。南禅寺は景色の撮影はOKです。さて、雪の日のお勧めは街側・・・ではなく、山側の様子です。近代的な建物が見えず、昔ながらの禅寺の風景を楽しむことができます。山並みが白いのもまた美しい。

先程訪れた天授庵も上から見下ろすとまた雰囲気が違った印象を受けます。天授庵から三門を眺めるのもまた素晴らしく、絵になる風景です。

以上、やはり雪の禅寺は、禅寺らしい幽玄な世界をよりいっそう引き立ててくれます。今回は回遊式庭園ばかりでしたが、南禅寺であれば方丈などでじっと座ってお庭を眺め、静かに降る雪を眺めるのまた素晴らしい。特に南禅寺は、地下鉄の駅が近く安定した交通機関で行くことができ、雪の日にもお勧めです。次回は、青蓮院門前からの道のりをご紹介する予定です。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年目。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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