啓蟄(けいちつ)の京都 静から動へ


3月5日は二十四節気の一つ啓蟄(けいちつ)。大地が次第に暖まって、冬眠をしていた虫が穴から出てくる頃です。

3月に入って雨の日が増えています。この時期の雨は、北と南で暖かさの違う空気のせめぎ合いの結果として降るものです。2月までは日本の南が戦いの最前線でしたが、今はまさに日本が戦場。地上はしとしとの穏やかな春雨でも、実は南風が勢いよく攻め入った紀伊半島の上空では、わずか1kmほどの高さでも20m/sもの風が吹き荒れていました。もう少し”戦線”が北上して日本海まで達すれば、南風は地上にも吹き下りて「春一番」となるでしょう。

3月・4月の天気は戦国真っ盛り。春と冬が交互に日本の覇権を争う戦いはまだまだ続きます。この時期の暖かい日に出すと必ず当たる予報に、「この先、寒くなります」というものがあります。春の気温は右肩上がりではなく、上下を繰り返して暖かくなっていくもの。実は今週から来週は、長期政権を誇った冬将軍が、まだまだ勢いのある隊列を整えて再び日本を奪還し、寒い日が戻ってきそうです。5日11時発表の京都の週間予報では、明日6日は予想最高気温が17℃もありますが、12日は真冬並みの7℃です。冬にやられないよう、防寒具はまだ仕舞わないほうがよいでしょう。この先、寒くなりますから。

さて啓蟄は、暦便覧によると「陽気地中にうごき、ちぢまる虫、穴をひらき出ればなり」と表現されています。今回も嵐電の動画をご覧ください。京都はあちこちで梅が美しく花開き、優しいを香りを放つようになってきました。日差しもだんだんと強くなり、もうじき日の出から日の入りまでの昼の時間が、夜の時間よりも長くなります。実は、「春分」は「昼と夜が同じ時間になる日」と思われがちですが、実際にはその日は春分よりも早く訪れ、今年の京都では3月16日~17日に昼夜の長さは逆転します。つまり、すでに春分の日は「昼の方が長い」のです。その驚き(?)の理由は、また春分の記事で書きましょう。

話がそれましたが、啓蟄は冬眠をしていた虫が活動を再開する頃といわれています。つい先日、梅の花に虫が来ているのを見つけました。今日も何かいないかと京都御苑へと出かけてみましたが、雨だったこともあってか、まだ生き物の気配を感じることはできませんでした。今年は2月も寒かったので、今しばらくかかるのかもしれませんね。

それにしても、毎年この時期に不思議に思うのは、あと1か月で嘘のように桜などの花が咲いて、色とりどりの華やかさに包まれること。植物が時に見せる静から動へのスピード感は、きっと厳しい冬の間も隠れて準備をしてきたからなのでしょう。一見何の変化もないように見える木々も、人知れず花開くチャンスをうかがっているに違いありません。早咲きで知られている近衛邸跡の桜もまだ冬の装いですが、きっとそうなのだろうと、そんなことを考えながら眺めてきました。彼らは、間違いなくあと1ヶ月後には美しい花を私たちに見せてくれます。待ち望んだその姿、今年の春も楽しみでなりません。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年目。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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