京都御苑 近衛邸跡のイトザクラが開花


昨日(28日)、京都御苑近衛邸跡に咲く早咲き桜・イトザクラ(糸桜)が開花しました。桃園には桃の花も咲き始め、梅園の梅もまだまだ見頃。今週末は、桜・梅・桃と春を代表する三つの花を楽しむことができそうです。

実はこの一週間、毎日京都御苑に通って開花状況を見続けていました。百聞は一見に如かず。いつか京都旅屋で桜の開花予想を出す時にも、こうして毎日撮った写真や、目で見た経験は役立つことでしょう。さて、近衛邸跡のイトザクラは早咲きで知られ、場所も広い京都御苑の北西で地下鉄の今出川駅からも近いとあって、近年人気を集めるようになりました(篤姫の影響もあるでしょう)。イトザクラは実はシダレラクラと同じ品種のようで、その上品な姿は人々を優雅な気持ちへと誘います。今年の京都御所の春の一般公開は、4月4日から8日まで。イトザクラは満開を迎えている頃でしょう。

近衛家は、代々摂政や関白という公家の最高位を務めた五つの家・五摂家の一つ。邸内は江戸時代からイトザクラ(しだれ桜)の名所として知られ、幕末の孝明天皇はこのような歌を詠みました。「昔より 名にはきけども今日みれば むへめかれせぬ糸さくらかな」。この歌の意味はどこのブログにも書かれていませんので、間違っているかもしれないという前提で解釈を書いてみます。難解なのは「むへめかれせぬ」の部分。”めかれせぬ”は、”目離れせぬ”で、目が離れないこと。その前に付く”むへ”は”むべ”で、「なるほど」といった意味と思われます。すなわち「昔から評判を聞いてはいたけれども、今日見てみると、なるほど目が離せなくなるほどに美しい糸桜であることだ」といった内容ではないでしょうか。(以上は、私の勝手な解釈ですので、取扱には十分ご注意下さい。)

現在のイトザクラは明治以降に改めて植えられたものです。また、近衛邸跡には早咲きの桜だけではなく、遅咲きの紅しだれ桜も植えられていて、実はこの先3週間ほどは楽しめる桜の名所となっています。近衛邸跡のイトザクラが咲くと、いよいよ京都の桜シーズンの開幕!!各地で一気に桜が咲き始めます。昨日は、祇園白川のしだれ桜も一輪開花していました。京都の桜は早咲きから遅咲きまで、各地に名所や特色があり、咲き方は一様ではありません。開花状況をよくご確認の上、行かれるのがおススメです。

一方、御所の西側を南へ下がっていくと、桃園と梅園があります。桃の花とイトザクラはほとんど同じ時期に開花しますので、是非こちらも一緒に見て頂きたいところ。京都で桃の花が固まって見られる場所はあまりなく、京都御苑の桃園や、将軍塚・大日堂のしだれ桃があります。御苑の梅園はまさに今が見ごろ。いつもは桃や桜の時期にはピークが過ぎていますが、寒い冬のために今年は桜・梅・桃を一緒に見ることができそうです。ここに李(すもも)が加われば、桜梅桃李(おうばいとうり)となります。スモモの花は桜や白梅に似ていますが、先日今出川通南の堀川で、ベニバスモモの花を見つけました。花の種類も増えてくるのが春。桜梅桃李、それぞれに美しいですね。

さて、今日(29日)・明日と暖かいので、順調に春らしくなるかと思いきや、土曜日は春の嵐。そして寒の戻りがまたやってきます。その先も気温の上下が激しく、4月から環境が変わられて生活リズムも変化される方は、体調には要注意といえます。今年の京都はまだ20℃を越える日がなく、このまま4月を迎えると2006年以来のこと。明日(30日)の予想最高気温は19℃。結果はどうなるでしょうか。京都のソメイヨシノの開花も、ウェザーマップは3月31日、日本気象協会は4月2日、ウェザーニューズは4月4日頃と予測しています。各社でばらつきが大きく、なかなか判断が難しいところ。今週末からライトアップイベントも始まるものの、まだ少し早いところがほとんどです。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年目。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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