葵祭 2012年 下鴨神社~加茂街道~上賀茂神社


昨日に引き続いて葵祭の様子です。今回は緑の美しい加茂街道を通過する場面や、走馬の儀で馬が駆ける様子をご紹介します。

御所を出発した勅使や斎王代の一行は、丸太町通を東へ進み河原町通を北上して下鴨神社を目指します。御所の建礼門前で行列の最後を見送ってから河原町通の北寄りに出ると、もう一度先頭から行列を見ることもできます。河原町通でのメリットは行列との距離が近いことと、御所と違って列の間隔が圧縮されているため、テンポ良く楽しむことができること。一方で、周りの風景は街中。現代のお祭りの雰囲気です。

私は混雑をすりぬけて下鴨神社へと先回り。糺の森の合間から森を抜ける行列を覗かせていただきました。こちらも有料席があり、御所よりも行列との距離は少し近くで、しかも木々に覆われた日陰で美しい緑を抜ける一行を眺めることが出来てお勧めです。一行が下鴨神社に着くと、勅使が天皇からの祭文を神に奏するなどの社頭の儀が始まります。5000円の奉納で参列することができ、下鴨神社では4月初旬から受付を、上賀茂神社の同様の儀式では当日に受付がされています。

さて、一般の方は社頭の儀を見ることができず、その間社殿に近づくことはできません。そのため、社頭の儀の後に馬場で行われる走馬(そうめ)の儀を見学するために集まってきますが、結構な待ち時間があります。また、社頭の儀が終わっても走馬の儀が行われている最中は、河合神社付近の馬場から本殿にかけて、西側への通り抜けは一切できなくなります。つまり、行列が下鴨神社を出発する場面を見るためには、河合神社を迂回してまわりこむなど、予想外に距離を歩く必要がある点に注意されるとよいでしょう。また、行列は走馬の儀の終了を待たずして出発しますが、走馬の儀が終わってから追いかけても間に合わないことはないでしょう。

走馬の儀は、5月3日行われた流鏑馬の的がないものといったイメージです。やはり、馬が目の前を勢いよく駆け抜ける様子は迫力があり、一見の価値があります。また、同時刻に舞殿では狂言が奉納されています。走馬の儀の人気が高いようで、狂言のほうは比較的すいています。行列が出発する前ならば、下鴨神社の楼門前に並べられた風流傘や神馬もすぐそばで眺めることができ、こちらもお勧めです。京都の雅なお祭りという気持ちが高まることでしょう。

さて、再出発した行列は、下鴨本通から北大路を進んで賀茂川を渡り、加茂街道へと入ります。北大路から加茂街道への入り口付近は、地下鉄の北大路橋からも近くてかなり混雑するので、交通の利便性を重視される方は早めに行かれて場所取りをした方がよいでしょう。一方で数百メートル北に足を延ばせば、行列が来る直前でも十分に間に合うほどに空きがあります。

葵祭の行列の特徴は基本的に行列そのものが静かなこと。祇園祭のようにお囃子はなく、時代祭のように太鼓や笛(山国隊)もなく(とはいえ基本的にはこちらも静かですが)、神輿のように賑やかでもなく、淡々と過ぎていきます。しかし!総勢40頭もの馬がパカパカと歩く音、牛車がギーギーときしむ音、勅使の馬飾の鈴がリンリンと一歩一歩響かせる音など、日常生活ではまず耳にすることのない音が聞こえてきます。特に勅使の馬の鈴の音は、葵祭のルーツ「馬に鈴をつけて走らせた」を思い起こさせてくれます。

加茂街道は、ケヤキ、エノキ、クスノキなど頭上を覆う大きな木々並んでいて車で走るのも気持ちがよい道。輝くエメラルドグリーンの木々の間に、色彩豊かな平安装束の一行が通るのですから、絵にならないはずがありません!京都ファンの多くがお勧めするスポットの一つでしょう。一行は北山通を越えてさらに北へと進み、御園橋を渡って上賀茂神社に到着します。

社頭の儀に関わりのある一行は、一之鳥居から順次境内へと入っていきますが、その他の付き人たちはここまで。バスに乗って早速戻っていきます。上賀茂神社の参道は有料席(1000円)になっていて、社頭の儀とはまた別ですのでご注意ください。ここでは一行が目の前を通る場面や、走馬の儀をすぐそばで見ることができます。しかし、一行が通過してから社頭の儀が終わって走馬の儀が始まるまで1時間は待ち時間がありますので、ご注意ください。

上賀茂神社の走馬の儀は競馬(くらべうま)とは違って参道を使って行われます。一之鳥居から二之鳥居の前まで勢いよく駆け抜けていく様子もやはり迫力があります。葵祭は雅な行列だけでなく、馬に関わる神事が多いのが特徴。是非是非、行列以外にも馬が走る神事も見て頂ければと思います。さて、今回はあえて実用的な話を書いてみました。来年以降の葵祭でお役にたてれば幸いです。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年目。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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