勧修寺 華やかな境内


日曜日に山科の勧修寺(かじゅうじ)へと足を延ばしてきました。紫陽花が境内を包み、氷室の池の周りには白い花のような半夏生(ハンゲショウ)、そして花菖蒲や睡蓮も花を咲かせ、この時期は華やかです。

市内各地で紫陽花が見ごろを迎えています。京都では三千院・藤森神社・三室戸寺・吉峯寺などが有名で、祇園白川や御池通など比較的街中でも美しい彩りを見せてくれています。紫陽花は様々な色彩があることが特徴で、雨にしっとりと濡れる姿も美しい。紫陽花は土中の酸性度によって色が変わるため、意図的に色を調整することも出来る面白い植物です。一般的に花だと思われている部分は実はガクの一部で装飾花と呼びます。本当の花である「真花(しんか)」は、装飾花の周りや中に隠れるようにしてあります。

気象台ではこの紫陽花の真花の開花を観測しています。京都の開花日の平年は6月15日で、以前萩のところで書いた「律儀な花か、気まぐれな花か」という区分では、律儀な方に入ります。毎年必ずこの時期に季節の進みを伝えてくれる、大切な植物ですね。なお、2012年の京都では気象台の移転準備に伴い、紫陽花など生物季節観測の一部は植え替えのため「欠測」となっています。

さて、勧修寺は山科の小野の里にあって、随心院とともに梅雨の時期にお勧めしたいお寺です。境内の彩り、まずは紫陽花。三千院・藤森神社・三室戸寺など、紫陽花だけのお庭も素晴らしいのですが、勧修寺では木陰に咲いて強く自己主張をしていないところに趣があります。色彩は澄んだ青。深くなり始めた木々の緑の中に青は冴えわたっています。

少し離れた場所から氷室の池に目を向ければ、まるで雪が降ったかのように池の周りが白くなっています。これが半夏生(ハンゲショウ)と、白い花の花菖蒲。半夏生は半化粧と書くこともでき、緑の葉を一部だけ残して白く変化する様子から「半分だけ化粧をした」、つまりハンゲショウ(半化粧)と呼ばれるようになったとする説があります。また夏至の日から11日目からの5日間は「半夏生」という期間(七十二候)ですが、田植に適した時期としてかつての日本では大切にされていたことがありました。その半夏生の時期を知らせるかのように花が咲くところから、植物の名前になったともいわれています。現在は梅雨の時期に目を楽しませてくれる植物として、京都では建仁寺の両足院も有名です。

氷室の池には花菖蒲や睡蓮も咲きます。菖蒲(ショウブ)はアヤメやカキツバタと見分けがつきにくいことでも有名です。花菖蒲の簡単な見分け方は、「花の付け根が黄色くなっている」部分。慣れてくればそれぞれの花も見分けが付くようになります。このように池の周りは様々な植物で彩られて美しい時期を迎えています。勧修寺は、藤原高藤にまつわるロマンスや、皇室ゆかりの建物、水戸黄門寄進の灯籠、琵琶湖からやってくる野鳥など、見どころが多いお寺です。是非、じっくりと拝観をしてみて下さい。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年目。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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