雨の大原 輝く緑


先日、雨の大原を訪れる機会がありました。輝く緑の美しさはまさに雨の日だからこそ。四季折々に美しい京都の素晴らしさを改めて感じます。

今年も梅雨の恐ろしい一面が現われています。九州では断続的に雨が降り続いており、この時間は静岡県から千葉県南部にかけて激しい雨が降っています。梅雨の時期は南や西方向から湿った空気の流れ込みが顕著で、九州のように西から南に遮るものがない地域では、海からまともに湿った空気が入り込んで山にぶつかり雲を生み、大雨に見舞われる危険が高まります。残念ながらこうした大雨が具体的にどこで発生するかは直前にしか予想するのが難しく、最新の情報や実際の雨の降り方に十分に注意して頂きたいと思います。特に中小河川には近付かない、強い雨が長く降っている場合は、山鳴りや斜面から水が吹きだすといった土砂災害の前兆現象にも警戒をして下さい。

また、雨は日本全国どこでも同じように降ると思われがちですが、その降り方は地域によって大きく異なります。雨の元となる温かく湿った空気が入り込みやすい南の方が一般的に強い雨が降りやすく、北へ行くほど雨は弱くなる傾向にあります。例えば、九州の雨の降り方と北海道の雨の降り方では、感覚的には雲泥の差があり、北国の方は九州の雨の激しさにさぞ驚かれることでしょう。また、そのような地域環境に基づいて河川や地形が自然と形作られ、治水想定もなされています。つまり単純な雨量の絶対値だけでは、地域の被害は判断できないこともあります。具体的にどれくらいの雨で自分の地域が危険にさらされるのか、地域のハザードマップなどで日ごろからご確認いただき、避難場所も確認しておいてください。

さて、雨が恐ろしい一面を見せる一方で、雨が美しさを引き立ててくれることもあります。特にお庭は、木々や苔の緑が輝いて生き生きとし、あえて雨の日にこそ訪れてほしいと思います。大原は紅葉の美しいお庭が多く、今の時期も緑や苔が雨の日は特に綺麗です。京都では1年の3分の1しか雨の日はありませんので、むしろラッキーだと捉えて、雨だからこその美しさに触れてみましょう。それにしても三千院は美しい。「京都 大原 三千院 恋に疲れた 女が一人」の歌が有名ですが、しっとりとした雨の日は考え事をするにもよい場所です。ちなみに曲の2番は「京都 栂尾(とがのお) 高山寺」、3番は「京都 嵐山(らんざん) 大覚寺」。いずれも静かに一級品の「京都」を感じられる場所ですね。

なるべく濡れたくないという方には、室内から眺められるお庭がお勧め。雨の音に包まれてゆっくりとお庭と向かい合っていると、いつもの喧騒から解き放たれるような感覚にも至ります。雨の日は人が少なく、運がよければ「貸しきり」で楽しむこともできるでしょう。以下、何枚か雨の大原の写真を掲載します。しばし、美しい雨の京都・大原の風景をお楽しみください。



ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年目。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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