建仁寺 塔頭のお庭


先日、建仁寺の塔頭・西来院を訪れる機会がありました。普段は非公開のお寺ですが、美しいお庭が迎えてくれました。また、両足院でも半夏生の庭が8日まで公開されています。

普段は非公開のお寺へと入ることが出来たのは、花園大学書道部の学外展が行われていたためです。学生の達筆も楽しませていただきました。私は書道については素人ですが、中国の金石文(漢文)を書にした美しい字には感じいるものもありました。お庭は落ちついた緑が美しく、ゆっくり眺めたくなりました。用意されていた座布団に座って瞑想してみるのも禅寺ならではの体験かもしれませんね。

建仁寺は栄西禅師が開いたお寺で、建仁2年(1202年)に創建されました。栄西禅師は日本臨済宗の祖として知られ、2回も宋の国(中国)へと渡り、日本に禅宗を広めました。建仁寺は源頼家の援助によって創建され、「建仁」というお寺の名称も当時の元号から取られています。元号を付けたお寺は全国にもいくつかあり、京都では延暦寺・仁和寺など格式の高いお寺が残されています。当時はまだ既存仏教の力が強く、天台宗・真言宗(密教)と一緒に禅を教えるお寺として始まった建仁寺でしたが、栄西は自身の死後50年「禅法大いに世に興らん」とその広がりを予言し、実際に1215年の栄西の死からちょうど50年を経た1265年に、建仁寺は純粋な禅の寺として確立して行くことになります。

臨済宗は、座禅によって本来自己に備わっている悟りを見出すことを教えとしています。公案という優れた禅者の言葉を元にした問題を座禅によって考え、悟りを得る(禅問答を行う)のが臨済宗の特徴。一休さんが座禅をして「とんち」を編み出すのも、臨済宗ならではといえるでしょうか。

建仁寺の両足院(りょうそくいん)では、半夏生のお庭が7月8日まで特別公開されています。葉を白く染める半夏生で知られるお庭は緑も美しい。茶室・臨池亭に上がり、両足院の月星紋の入った特性のお菓子でお茶を頂きながら、じっくりとお庭を眺めるのが個人的にはお勧めです。また、建仁寺の境内から禅居庵に入ると、桔梗の花も咲いています。人知れずひっそりと咲いていますので、是非訪れてみて下さい。四条の繁華街の近くにありながら、深い歴史と京都らしさを持つ建仁寺。塔頭にも四季折々に美しいお庭があります。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年目。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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