大文字山 火床の消し炭


8月16日は五山の送り火が行われました。大文字山には気軽に登ることが出来ますが、その消し炭を持ち帰り、玄関に置くと無病息災・厄除けのご利益があると信じられています。

この日は銀閣寺側からではなく、鹿ヶ谷(ししがたに)のルートから大文字山の山頂経由で登りました。大文字山は標高465mで、如意ヶ嶽(472m)の支峰に当たります。山頂からの眺めがよく、鹿ヶ谷側から登ると途中には桜門の滝もあって、夏も涼しげ。かつて如意ヶ嶽山中には如意寺という山岳寺院があり、その桜門(楼門)の付近にあったために桜門の滝と呼ばれているようです。

鹿ヶ谷からの道は大津方面にも抜けることができ、かつては三井寺へと通じる道として、一説には保元の乱で敗れた崇徳上皇が逃げ伸びようとした道とも考えられています(諸説あり)。険しい山中では馬に乗れず、上皇は自らの足で歩くものの、慣れない山歩きでついに山中で気を失ってしまったとされます。やがて回復した上皇は三井寺行きを断念してお供の侍を逃がし、夜の闇に紛れて僅かの従者とともに下山していくのでした。

大文字山の山頂を経てしばらく下ると火床に出ます。「大」の文字は75カ所の火床の集まりで描かれ、横棒は80m、大のてっぺんから左の払いまでが160m、右の払いが120mあります。「大」の文字は遠方からもよく見えるように、その火床からも抜群の眺望が望めます。京都では将軍塚など眺望の良い場所がいつくかありますが、やはり大文字山からの眺めは群を抜いていますね。

大文字山へは送り火の行われる16日は午後2時以降は登ることが出来ず、火床の消し炭は登頂が解禁された翌日早朝から拾うことが出来ます。地元の方々がこぞって登り、まだ温かい炭を持ちかえっていきます。この炭を玄関に置いたり吊るすと、無病息災・厄除けのご利益があると信じられてきました。地元の皆様にとってはこの消し炭を拾うところまでが「送り火」なのでしょう。私が訪れたのは午後で、小さな炭しか残っていませんでしたが、厄除けに持ち帰らせていただきました。暑い中、頑張って登ったかいがありましたね(笑)今回は送り火の消し炭のお話でしたが、実は昨晩は嵯峨野で鳥居形を眺めてきました。そちらの様子はまた次回以降にご紹介します。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年目。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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