台風の接近と中秋の名月


台風17号の進路が定まってきました。30日の夜に日本に接近・上陸する可能性が出ています。最新情報に十分ご注意ください。

その30日は中秋の名月です。今のところ30日の夜に近畿から東海に上陸するのが中心線(四国・関東方面への可能性もあり)。台風の接近となればお月見どころではありませんが、まだ進路は前後する可能性があります。台風の進路は予報円で表されます。円の中に入る確率は70%。意外と低いと私は思いますが、厳密には円の中でも確率は一様ではありません。予報円が大きい理由には、「進路が定まっていない場合」と「進行速度に幅がある場合」があります。気象的一般論を踏まえると(予想ではない)、今回はどちらかと言うと後者でしょう。例えば27日21時発表の台風情報では、30日21時の予報円で九州がすっぽりと覆われています。しかし実際には九州に上陸する可能性は低いはず。進行速度のブレ幅がある場合は、それを「円」でカバーしなければならないために、本来不必要な範囲まで予報円に含まれる、ということが起こってしまいます。21時発表の進路予報では、接近予想時刻がそれまでより12時間程早くなりました。今後もさらに早まったり、あるいは遅くなったりする可能性もありますので、最新情報には十分ご注意ください。

台風の接近に伴い、29日から西日本では前線による雨が降り出す見込みで、今のところの進路予想では29日・30日ともに京都でのお月見は非常に難しいといわざるを得ません。今週末は各地でお月見の行事があるだけに非常に残念でなりませんが、そもそもが台風シーズンである以上致し方ない面もあるでしょう。「月に叢雲(むらくも)花に風」は古からのいい伝え、今年はまさにその通りとなりそうです。

しかし中秋の名月がダメでも、翌日は十六夜(いざよい)、その翌日は立待月。さらには居待月、寝待月、更待月(ふけまちづき)と続いて行きます。台風シーズン、秋雨シーズンといえども、秋の天気は周期変化が基本です。中秋の名月も含めて、都合6日間もあればどこかで月が見られる日が来るわけで、これも古人の月の楽しみ方なのでしょう。

十六夜は「ためらう」を意味する「いざよう」の連用形が名詞化した言葉で、この時期の月は1日に35分ほど遅くなり、月が出るのをためらっているというわけです。今のところの台風の進路ならば10月1日の十六夜の月は、低い雲の合間から月が見える可能性があります。まん丸のお月さまでなくとも(厳密には中秋の名月=満月ではありませんが)、水蒸気が多くて視界のさえない夏の空から、乾いて視界のよい秋の空気へと変わる時期の月の輝きは印象的です。今年も静かに月を眺めてみたいですね。

中秋の名月については昨年のブログにもいろいろと書いていますので、よろしければご覧ください。
中秋の名月 月が大きく見える理由
京都のお月見 その一
京都のお月見 その二 中秋の名月

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年目。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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