大乗寺の酔芙蓉


山科の入り口にある大乗寺では酔芙蓉の花が見ごろを迎えています。

京都もずいぶんと秋めいてきました。今朝の最低気温はこの秋で最も低い13.8℃。ここまで下がるのは5月以来です。しかし、今の時期は一年でもっとも劇的に気温が下がって行く時期。例年10月下旬には気温が一桁の日も出てきます。まだまだ気温は下がりますので、体調管理には十分にご注意ください。

さて、一般的な芙蓉の花は真夏が見ごろの時期ですが、酔芙蓉(すいふよう)は、秋に入った9月から10月にかけて見ごろを迎える花です。朝は純白で、午後には淡いピンクに変わり始め、夕方から夜には紅色になる面白い花です。その様子からお酒に酔う芙蓉、酔芙蓉として古くは平安時代から親しまれてきました。花言葉は繊細な美、しとやかな恋人だそうです。

大乗寺は、もともとは上京区にあった尼寺で、昭和55年に現在地に移転してきました。一時はかなり荒れ果てていたそうですが、平成4年に移り住まれた住職により、参道の整備など復興がなされました。その際に酔芙蓉を植え、年々数を増やして現在では1500本ほどを数えるそうです。これほどの数が群生するのは全国的にも珍しく、大乗寺は酔芙蓉の寺として知られるようになりました。

この日私が訪れたのは夕方でしたが、咲いた花がほのかに白い花がピンクに変わり始めた頃合か、あるいは多くの花が酩酊状態で真っ赤にしぼんでしまっているのかといった様子でした。有名寺院と違って、静かに眺められるのもこのお寺のよいところでしょう。境内には案内板が数多くあり、蚊をよけるための蚊取り線香や、団扇まで用意されていました。偶然お会いした住職さんも気さくに話しかけてくださり、とても親切です。この境内だけ時間がゆったりと流れているかのようでした。大乗寺へは、地下鉄の御陵(みささぎ)駅から歩いていくことができます。門前は旧東海道で、そこから急な階段を上ると酔芙蓉が待ってくれていますよ。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年目。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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