宝鏡寺 人形供養 島原太夫による箏や舞の披露


14日に宝鏡寺人形供養が行われ、島原太夫による箏や舞の奉納も行われました。

宝鏡寺は尼門跡寺院として知られる寺で、御所にも近く、皇女が入寺したため数多くの人形が贈られ、現在も伝わっています。春と秋には人形展も開かれ、御所人形など数々の人形が展示されます。こうした人形の公開が始まった昭和32年ころから、一般の方から人形が供養のために寄せられるようになり、昭和34年に境内に人形塚も作られました。人形塚自体は1950年代半ばに、京人形商工業協同組合が、京人形を本格的にアピールしていこうと建立を計画したものです。

この人形塚には「人形よ 誰がつくりしか 誰に愛されしか 知らねども 愛された事実こそ 汝が成仏の誠なれ」との武者小路実篤(むしゃのこうじ さねあつ)による言葉が刻まれています。人形供養でもその言葉が塚の前で読み上げられ、境内には奉納された数多くの人形も並べられています。人形は供養料三千円からで受付けて頂けます。この時、受付で書かれる紙の”ひとがた”を燃やした灰の一部が、人形供養で人形塚に納められます。

さて、人形供養には毎年島原大夫も参列し、人形供養で焼香を行った後、本堂でお箏や舞の奉納が行われます。今回太夫さんは菊川太夫さんでした。京都では太夫さんや太夫道中が見られる行事が時々あり、実は先日行われた高台寺の北政所茶会でも、司太夫さんと振袖太夫さんによる太夫道中やお手前が披露されました。

宝鏡寺の人形供養では太夫道中はありませんが、狩野探幽の紺碧障壁画「秋草図」をバックにした本堂で行われる箏や舞の奉納が非常に美しく、見ごたえは抜群でした。やはり現代的な建物よりも、こうした華やかな場所が太夫さんには似合います。今回は「荒城の月」と「六段の調べ」が奉納されました。

舞も艶やかで品があり、たいへん華やかな衣装で数々の芸を極めた太夫さんの姿をイメージさせていただけました。現代にこうした芸能を身につけて伝統をつないでいくのも大変なご苦労があるかと思いますが、この華やかさは舞妓さんをしのぐ感動があります。京都では、11月に清凉寺の夕霧供養や嵐山紅葉まつり、12月には法住寺や嶋原太夫餅つき会でも太夫さんを見ることが出来ますので、機会がありましたら是非その美しいお姿を見てみて下さい。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年目。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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