建仁寺 禅居庵 雪降る境内


冬の気配が強まる京都。紅葉も日に日に進んでいますが、建仁寺の禅居庵では、山茶花の花が散り、まるで雪が積もったかのようになっています。

15日は京都も非常に寒い一日でした。最高気温は10.7℃までしか上がらず、ちょうどクリスマスの頃の気温となりました。日中も断続的に雨が降り、比叡山が白くなったとの情報もあります。ただ、この時期の寒波はまだ持続性がありません。天気の流れが速く、目まぐるしく主役が交代して行きます。16日は高気圧に覆われて、一転穏やかに晴れる見込み。17日は再び季節を進める雨。18日も今日ほどではありませんが、寒い一日となりそうです。

京都の初雪の平年日は12月15日でちょうど1か月ほど先ですが、近年では2002年に11月8日に初雪が観測されたことがあり、ごく希ですが、すでに雪が降っても不思議ではない時期となってきました。純白に覆われる雪景色が今年も楽しみですが、建仁寺の禅居庵の摩利支天堂の周りでは、山茶花(サザンカ)が咲き、その散る様子はまるで雪が降り積もったかのようです。一足先に雪景色に出会えたかのような気持ちになります。山茶花は花期が長いのが特徴で、来年の2月頃まで楽しむことが出来ます。

禅居庵の摩利支天堂は、狛猪がある境内としても知られています。これは、祀られている摩利支天が猪に乗って現れるとされるためで、五頭や七頭の猪に乗った姿の像もあります。猪は素早さや智恵の迅速さや勇敢さを表すそう。摩利支天のルーツは陽炎を神格化したインドの女神マリーチで「摩利支」の文字はこのマリーチに漢字をあてているわけです。

陽炎には実体がなく、捉えられることも傷つくこともありません。さらに摩利支天を信じる者は、摩利支天と同様の功徳が得られると書かれている経典もあり、そんなところから武将の間に摩利支天の信仰が広まりました。かの楠木正成や前田利家は兜の中に摩利支天の小さな像を入れて出陣したと伝わります。

さて、建仁寺の境内は桜の紅葉(褐葉)がまだ見頃で、楓は次第に赤みを増してきています。昨年は三門が修復中で覆いがかかっていましたが、今年は三門周りの紅葉も綺麗に見ることができそうです。寒さで紅葉も進み、東福寺辺りも今週末からいよいよ見ごろに入って来そうな気配です。期待が高まります。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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