訪れたのは11月24日で、既に鞍馬・貴船方面の紅葉は最終盤といった状況でした。二ノ瀬の集落は叡山電車の貴船口駅の一つ手前にあり、惟喬(これたか)親王が隠れ住んだとされる山里です。その中に、白龍園があり、この秋初めて一般公開されました。白龍園は青野株式会社の所有で、創業者である青野正一氏によって50年ほど前に開かれました。その後20数年の年月を注ぎ、現在のような素晴らしいお庭を作り上げたそうです。
園内は高低差に富み、その中に名前の由来ともなった山の祭神・八大龍王と白髭大神を祀るお社があります。この日はちょうど紅葉は終盤で、見事な色づきの木々も見ている間にもどんどん散って行っていました。風が吹く度に散っていく様子もまた美しく、桜吹雪のような切なさも感じさせてくれました。ハラハラと散っていく様子は動画もありますので、ご覧ください。
それにしても緑の山に真っ赤な紅葉が映えて本当に美しい。苔も見事に手入れされています。京都にもまだまだこんなお庭が隠れているのだなと感じました。とはいえ今回の一般公開は、拝観にいくつか制約がありました。まず、叡山電車の出町柳駅でのみ当日分の拝観券を買うことが出来る点(翌日以降の拝観券を買うことはできない)。電車の乗り放題切符の付く2000円の券が費用対効果の面ではお勧めでしょうか。販売時間が9時から13時までと限られているのも要注意で、直接現地へ行かれても拝観することができません。
また、雨天時は拝観休止となるため、まさにその日の天気をよく見て行かねばなりません。一日の拝観人数は合計100名までで、それを超えると拝観券の販売が終了となります。園内は高低差があり、苔むしている階段もあるため、安全面での配慮からとのことでした。今後、春にも公開の予定とのことですが、同様の対応が予想されます。なお、今シーズンの拝観は11月30日で終了していますのでご注意ください。
白龍園のある二ノ瀬駅周辺も紅葉が美しい場所です。叡山電車では、二ノ瀬駅そのものも見事で、二ノ瀬駅から市原駅間には「紅葉のトンネル」もあり、電車が減速運行をしてくれます。この日のトンネルは見頃過ぎだったものの、美しさの片鱗は見られたと思います。紅葉のトンネルではありませんが、車窓からの風景などは動画もありますので、ご覧ください。
ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。