八幡市 男山と善法律寺


八幡市の男山界隈には紅葉が綺麗な場所があります。

まず天気のお話。10日の京都は朝から雪が舞って初雪を観測。洛北の金閣寺ではうっすらと積もったようでニュースにもなっていました。ただ市街地や気象台での観測上は積雪はなく、日中には気温が上がって雨に変わりました。昨日の予想よりも影響が小さく、目立った混乱もありませんでした。ひとまず寒気はピークを越え、この先は日に日に気温が上がって平年並みに戻っていきます。次回の寒波は、12月下旬に来るかどうかといったところ。しばらくは今回のような厳しい寒さは来ない見込みです。

さて、男山は石清水八幡宮がある山で、京阪の八幡市駅から男山ケーブルに乗って石清水八幡宮まで行くことができます。その山麓にも社寺や史跡が点在しており、前回紹介した松花堂跡もそうですし、石清水八幡宮の名の由来ともなった「石清水」は今も山中に水を湧かせています。徒然草の中で、仁和寺の法師が石清水八幡宮だと思い込んだ高良社もちゃんと麓にあって、徒然草の記述を追体験することもできる場所です。この日(11月27日)は、高良社に銀杏が散って見事でした。

男山には山中を走るケーブルを眺められる場所もあります。知る人ぞ知る絶景スポットでしょうか(笑)ちょうど上と下からやってくるケーブルがすれ違う場所で、山々の色づきとともに、見事な景色を見せてくれます。いつか、この辺りを歩く散策もできたらよいですね。

付近で見事な紅葉として知られるのは、善法律寺。京都検定のテキストにも紅葉の名所として記述があります。お寺の創始者のひ孫が足利義満の母で、義満が二十数度訪れたと伝わります。境内は広くはありませんが、確かに紅葉が見事で、池や地蔵に沿って京都らしい風情を見せてくれます。

この善法律寺の地蔵の台座には、昭和9年9月21日の室戸台風によって亡くなった生徒たちの名前が刻まれており、気象予報士としては手を合わさずにはいられないお地蔵様です。室戸台風はそのすさまじい暴風もさることながら、通過速度が非常に速く、わずか2時間で急激に風が強まったという特徴があります。折悪く、生徒の登校時間帯にはまだ学校へ行けるくらいの風速だったものが、学校に着くころには激烈な暴風となり、当時の木造校舎は軒並み倒壊。数多くの生徒や先生が下敷きとなって亡くなりました。

現在のように警報の周知も徹底されていない時代でしたので、近畿一円でこのような悲劇が起こり、この地蔵の慰霊塔には八幡尋常高等小学校の倒壊によって亡くなった数多くの生徒の名前が刻まれているのです。京都では善法律寺以外にも何か所かで、室戸台風の悲劇を今に伝えるところがあります。この慰霊塔には今でも毎年9月21日、八幡小学校の教員・生徒が花を手向けていて、当時被害に遭いながらも生き残った方もこの日に参拝されるそう。室戸台風の教訓は今に伝わっています。・・・八幡市界隈も数多くの興味深いスポットが隠れていますので、京都検定の勉強の合間に足を延ばしてみても面白いでしょう。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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