苔の輝く瑠璃光院と額縁紅葉の蓮華寺


12月3日には、洛北の瑠璃光院蓮華寺などを訪れる散策を、らくたびさん主催で実施しました。

瑠璃光院は2005年にお寺となりましたが、以前は高級料理旅館の喜鶴亭だった場所です。そのため、お寺というよりも落ち着いた旅館時代の建物や佇まいが楽しめる場所です。紅葉や新緑の時期に特別公開をされ、近年人気を博しています。特に瑠璃の庭は、ある気象条件が整うと庭が瑠璃色に輝くためにそう名付けられている場所です。

気象予報士としては、その気象条件が気になるところ。以前お寺の方にお聞きしたところ、秋で紅葉の色づく頃、苔や木々に光が差して瑠璃色に見えることがあるとの言葉を頂きました。紅葉の時期に瑠璃の庭に光が差すのは、私の経験や庭の向きから考えても午後に限られ、差し込む光や苔が輝くのは木々が濡れている時で、具体的には、雨が降ったり止んだり日差しも戻ったりをする「時雨」がこの条件に当てはまります。時雨ならば、一時的に雲が晴れる時に差し込む光が照らす庭の輝きが強く印象に残り、紅葉の赤や黄色、苔やまだ色づき前の緑色の中に、瑠璃色を感じやすくなるのではとも推測しました。(ただ、先日放送された「美の京都遺産」によると、”数年に一度新緑の季節に、ある角度で光がさした一瞬、露をまとった苔が瑠璃色に輝く”のだそうです。)

ということで、この日の散策は午後に設定しました(笑)紅葉はまだ少し残っていて、日差しもあり、苔の庭には露が輝いてなかなかの好条件。瑠璃色は見えませんでしたが、キラキラと輝くお庭が大変美しく、見ごたえがありました。現実的にはお寺の僧侶の方も瑠璃色の庭は見たことがないとおっしゃっていましたが、瑠璃色というのは浄土の世界を表し、煌びやかなことを比喩する言葉でもあるのでしょう。

瑠璃光院のお庭の美しさは京都でも有数で、入口から書院(本堂)へと続く山露地の庭、書院前の瑠璃の庭に加え、数寄屋造りの喜鶴亭前にある臥龍の庭のそれぞれに苔が植えられ、その種類は15種類を数え、育てるのが難しいものもあるのだとか。庭師の腕や手間暇あってこそのこの輝きなのでしょう。

さて、もう一つの蓮華寺は、書院前に広がる池の周りの紅葉が見事なお寺。例年紅葉が遅く、訪れた日もまだ見頃の範疇で楽しむことが出来ました。このお庭は書院の奥にひかれた赤い毛氈の上に座って、額縁のように眺めるのが美しい。まさに”京都”らしい光景ですね。庭は歩くこともでき、見事に敷き詰められた散り紅葉が、非日常の世界へといざなってくれました。

この日は天気にも恵まれて、今年最後の紅葉散策を楽しむことが出来ました。市街地から少し離れると、風景も長閑になり、その中に京都らしい風景が隠れるように点在しています。春の新緑の時期にも素晴らしい場所ですので、またいつか同様のコースで5月頃に歩ければと考えています。ご参加頂いた皆様、本当にありがとうございました。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です