嵐山花灯路 2012年 その2


17日まで行われている、嵐山花灯路。今回は夜間拝観の様子です。

渡月橋を渡ればそこには法輪寺があります。枕草子にも代表的なお寺として名が挙がり、平安京以前に創建された嵐山随一の古社。そんな由緒深きお寺は、毎年花灯路の時期になると、D-K(デジタル掛け軸)と呼ばれる現代アートで煌びやかに彩られます。背後の山まで映像が広がる姿はとても迫力があります。世界的に活躍しているデジタルアーティスト・長谷川章氏が創作考案したD-K(デジタル掛け軸)は約100万枚の画像が、大型プロジェクター10数台を使って本堂などに投影され、ゆっくりと映り変わる光のアート。今年のテーマは「望年」だそうで、音楽の演奏とあわせて幻想的な空間が作りだされました。

法輪寺からは京都の夜景も美しく眺めることが出来ます。昨年はちょうど月が昇る時期で、大河内山荘内の月香亭から月が昇る非常に綺麗な光景を眺められたことを思い出します。今年は月の時期からは外れてしまいましたので、そういった彩りはありませんが、十分に素晴らしい眺めを見せてくれています。

今年は昨年は見ていない常寂光寺の夜間拝観へといってきました。紅葉の名所で知られるこのお寺も8日の時点では紅葉は散り果てていましたが、苔とともに優しい光に照らされる散り紅葉がなんとも美しく、秋の名残をほのかに見せてくれました。そして、普段は見られない仁王門のライトアップは予想通りの美しさ。思っていたよりも人も多く、賑わいを感じました。

ただ、資料用になるべく人の写らない写真を撮るのが京都旅屋の取材ですので、できるだけ頑張ってみました。人の写り込まない写真はとにかく「粘り」に尽きますが、慌てて撮ると、この写真のようにちょっと傾いてしまいますね(苦笑)なお、常寂光寺は高低差の激しい境内ですので、足の悪い方は十分にご注意ください。

常寂光寺のほど近く、落柿舎(らくししゃ)でも夜間拝観が行われています。落柿舎は、藁葺の屋根が嵯峨野の長閑さを象徴しているかのようです。江戸時代の俳人・向井去来の草庵跡で、松尾芭蕉も訪れたことがあります。かつて落柿舎の庭先には40本もの柿の木がありました。ある時、都からの商人が庭の柿の買い入れを決めて一貫文もの大金を置いて行ったのですが、なんとその夜、嵐によって一晩でほとんどの柿の実が落ちてしまったのです。翌朝心配でやってきた商人も、こんなのは初めてだというほどの柿の落ちようだったそう。去来は親切に商人にお金を返してやり、以後「落柿舎の去来」と名乗るようになりました。

そんなお話にちなんで、今年の花灯路では落柿舎の前に「柿灯篭」が無造作に地面に置かれています。遠くから見ると何が置いてあるのか判然とせず、近づいてみて「なるほど!」と思わされました(笑)現在の落柿舎にも柿の木があり、実が残っています。それにしても、柿の実を全て落とすとはよほどの台風だったのでしょうね。さて、嵐山花灯路では、二尊院や法厳院など他にも夜間拝観が行われているお寺があります。一晩で全てを回るのはほぼ不可能ですので、事前に場所を絞ってお出かけされるとよいでしょう。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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