輝きを取り戻した八坂の塔


東山のシンボル八坂の塔の西側が、最近再びライトアップされるようになりました。昨日からは、日没とともに21時までライトアップされています。

東山にそびえ立つ五重塔は京都を代表する風景の一つです。八坂の塔は正式には法観寺というお寺で、塔は聖徳太子が如意輪観音の夢のお告げを受けて建立したと伝わります。聖徳太子は京都に都が出来る200年も前の人物ですので、この伝説は嘘のようにも思えますが、京都では他にも六角堂が太子が沐浴をした場所とも伝えられています。実は聖徳太子のブレーンであった秦氏は深草や太秦などに勢力を広げており、太子が当時の京都を訪れた可能性は十分にあるとされ、さらには法観寺境内からは飛鳥時代後記の瓦も発見されており、少なくとも奈良時代以前から寺があったと考えられています。

さて、今は1440年に再建された塔が立っていますが、かの戦国武将、織田信長や豊臣秀吉らも眺めたかもしれない塔を、今もこうして眺められるのは本当に奇跡です。京都でも数少ない、応仁の乱(1467年)以前にさかのぼれる建物で、現在は多くの観光客の目印としての役割も担っています。今シーズンの冬の「そうだ京都、行こう。」のキャンペーンではこの八坂の塔が取りあげられていますので、少し光も浴びそうです。なお、塔の内部は2層目まで上がることが出来るのですが、不定期で公開されているため、開いていたら非常にラッキー。迷わず入りましょう。また、内部の仏像は京都でも珍しく写真撮影がOKな場所。詳細は、どこかで改めてブログに書きたいと思います。

夜間のライトアップは、東側と西側から行われていましたが、実は西側は塔下にかつてあった中華料理屋さんが自腹で照らしてくれていたのです。しかしその中華料理屋さんが退去したため、近年は塔は東側からのみ照らされ、西側は真っ暗でした。ところが、最近売り物件だったその場所に「まみち園」というお茶屋さんが入り、西側のライトアップも再開してくれました。当初は19時から21時のライトアップでしたが、昨日からは暗くなりだす17時頃から21時まで点灯するようにしたそうです。お店の方に伺ったところ、今後は日没に合わせて点灯時間を変えていくとのことでした。恐らく今回も電気代はお店の自腹なのでしょう。

今夜も、塔は美しく輝いていました。バックにはおぼろげに月が昇り、京都を代表する美しい光景がまた戻ってきたのです。京都はこのように地域の方の努力によって守られて、演出されている街でもあります。ライトアップをして下さっている「まみち園」さんは、1階は日本茶のお店で、2階には畳敷きのカフェもあるようですので、また機会を見つけて訪れてみたいですね。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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