京都 ヘビ年のスポットいろいろ


2013年はヘビ年(蛇年・巳年)です。京都でも、蛇の像や絵などが見られるスポットがいろいろあります。なお、今回は京都各地の蛇にまつわる写真がありますので、苦手な方はご注意ください。

京都の街には数々の動物が隠れていて、探せば十二支全てどころかさらに多くの動物たちを見つけることができます。蛇と言えばまず浮かぶのが弁天様の使いであるということ。弁天様にまつわる場所には、蛇の像や絵が掲げられているところもあります。弁財天は元はインドのサラスバティー川という川の神様で、川が流れる水の音から音楽の神ともなって、手には琵琶持っています。また、川はクネクネと流れるところから、弁天様の神の使いは蛇というわけです。日本神話でも、出雲国の大蛇・ヤマタノオロチは、実際にある斐伊川を神格化したという説もあり、蛇と川は感覚的にも結びつきやすかったのでしょう。

弁天様は数々の社寺に祀られていますが、中でも出町柳駅から橋を西に渡った先にある、妙音弁財天の境内にはいくつもの蛇の絵が奉納されています。この弁財天の本尊も、西園寺家に伝わっていた弁財天の絵で、西園寺家は琵琶を伝える家だったところから、音楽の神として弁天様を信仰していました。妙音弁財天の本尊は、南北朝時代に伏見宮に嫁いだ広義門院・西園寺寧子(やすこ)の念持仏とされ、以来、伏見宮に伝わっていたものが、伏見宮の東京移転後に、京都の信者によってこの地に祀られました。また、金閣寺には池の中に白蛇の塚という石塔がありますが、こちらは金閣寺がもともと西園寺家の別荘であったことにちなむものです。

この広義門院は、現在は相国寺にある大光明寺を創建し、妙音弁財天も大光明寺が管理をされています。その大光明寺には、普賢菩薩がお祭りされ、辰年・巳年生まれの守り本尊として信仰を集めています。大光明寺は昨年の京の冬の旅で公開されましたが、実は普段から参拝は可能です。巳年にちなんで静かに拝観してみてもよいでしょう。詳しくは以前ブログに書きましたので、ご覧ください。

また、宇賀神(うがじん)という信仰もあって、お爺さんの頭と、とぐろを巻いた蛇の胴体が合体した不思議な存在です。蛇とのつながりから弁天様とセットで祀られることも多く、例えば円山公園の東にある吉水弁財天の裏には、宇賀神を祀るお社があります。宇賀神の「ウガ」は、稲荷の神であるウカノミタマノカミの「ウカ」を連想させるため、財運・金運の神として祀られ、もとは水の神であった弁財天が財宝をもたらす福の神になったのも、この宇賀神と習合をしてからだとする説もあります。三室戸寺には、近年設置されたこの宇賀神の巨像があります。お寺には、嫁を貰いに来た蛇をカニが集団で退治する話が伝わり(南山城の蟹満寺の伝承とそっくりですが)、後日、娘は三室戸寺に宇賀神を奉納したというところからこの像が置かれています。

有名所では、清水寺境内の地主神社にあるおかげ明神にも、白蛇の像が祀られています。これは蛇年だからということではなく、もともと置かれているものです。縁結びで知られる地主神社の境内にも、数々の縁結びや願掛けにまつわる小さなお社が並んでいて、おかげ明神では「一願成就」のご利益が授かれるそう。特に女性の守り神として信仰を集めています。なお、おかげ明神の裏の杉の木には、結構恐ろしいものがあったりします。が、今回は詳細を記すのはやめておきましょう。気になる方は、現地にて確認してみて下さい。

哲学の道沿いにある大豊神社の本殿横には、昨年奉納された狛蛇の像があり、境内は狛ねずみ・狛猿・狛トンビと、動物だらけです。これから境内は椿が彩る時期で、狛ねずみが椿の花飾りをつける様子が今年も見られるでしょう。奉納された蛇の像にも、金運・招福のご利益があるとされています。

いっそ蛇の本物を見たいという方は、京都水族館へ。1月25日まで、実際に京都に住む蛇の展示が「ヘービっくり ~ 京にすむヘビたち」と題されて行われています。縁起が良いとされるシロヘビ(ここでは突然変異のアオダイショウ)もいて、実物の蛇もなかなか可愛らしい顔をしているなと私は思いますが、蛇は苦手な方も多いためか、展示スペースは水族館の最後の山紫水明ゾーンの出口付近で、控えめに設けられています。

また、各神社では蛇の絵馬が様々な絵柄で登場していますので、自分のお気に入りのものをあちこち探してみても楽しいと思います。恵比須神社の干支の絵馬は毎年神社の宮司さんが原画を手掛けていて、絵に味があります。京都は、社寺に囲まれた信仰の街。まだまだ探せばあちこちに蛇にまつわるものはあるのでしょう。

最後に、空にもヘビが出ることがあります。そうです、「虹」です。虹という漢字は、虫+工で表されますが、虫にはヘビや龍の意味があり、工には貫くという意味があります。古代中国やアフリカではヘビは虹に変化するとの言い伝えがあり、ヘビが空を貫くことで「虹」が架かり、空と地上とをつなぐ橋が出来上がるのです。2013年、蛇の福徳にあやかって、よい1年にしていきたいですね。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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