雪に包まれた貴船神社


先日、貴船神社まで行ってきました。雪の積もった参道は、京都有数の美しさです。

貴船神社へは、叡山電車の貴船口駅からバスで向かうのが普通ですが、例年冬季の平日はこのバスが運休となり、交通アクセスが不便なのがネックでした。しかし、今シーズンからはバスが通年運行となって、平日でも貴船神社に行きやすくなりました。鞍馬や貴船は京都でも雪の多い地域で、路面は常時凍結しているところもあります。安易に自家用車で向かうことは危険を伴うこともありますので、十分にご注意ください。

貴船神社の参道は、階段に赤い灯篭が立ち並ぶ美しい光景が印象的です。冬はここに雪が積もり、また格別の美しさを演出してくれます。神社の方によると、今年は雪が少ないそうで、例年は神社界隈の道も凍結しているそうですが、私が訪れた日は雪がどんどんと溶けて、道も奥宮へと向かう道が凍ってはいましたが、神社の本宮までは濡れ路面で来ることが出来ました。貴船も雪が多いとはいえ、常時あるわけでもありませんので、気になる方は美山のアメダスで積雪深を見るとよいでしょう。あるいは、大原のライブカメラを参考にする手もあります。

貴船神社は水の神、縁結びの神として、近年のパワースポットブームの中で若者を中心に参拝者が絶えない神社でもあります。この日も、ずいぶんと若い方(特に女性)とすれ違いました。貴船神社の結社(ゆいのやしろ:中宮)には縁結びの神として、イワナガヒメ(磐長姫)と呼ばれる神様が祀られています。その昔、天照(アマテラス)の孫であるニニギは、天孫降臨で地上に降り立った後、美しいコノハナサクヤビメを妻にしようとしました。

しかしその父は、コノハナサクヤビメの姉で、容姿が醜いイワナガヒメも一緒にめとるようにと言いました。コノハナサクヤビメは桜の花に代表される、美しくも儚いものの象徴。一方のイワナガヒメは岩石に代表される、醜くとも永く続くものの象徴です。ニニギは結局、コノハナサクヤビメだけを妻とし、イワナガヒメは父のもとへ送り返してしまいます。この話によってニニギとコノハナサクヤビメの子孫である天皇家は、寿命が有限になったのだと神話には記されています。あぁ、もしイワナガヒメをめとっていたら、と思うのは現代人の勝手かもしれません。

さて、実はこの話にはさらに続きがあります。めとってもらえなかったイワナガヒメはそのことを恥じ、「我長くここにありて、縁結びの神として世のため人のために良縁を得させん」として貴船の地に鎮まりました。それが「結社」です。どうでしょう、失恋の痛みを知ってなお人々の良縁を願う涙ぐましい物語。なんともすごいパワーを頂けそうなご由緒ではありませんか。ちゃんと実績もあります。平安時代の歌人・和泉式部が冷めた夫の愛を取り戻そうと祈願に訪れ、見事に成功させたのです。現代でも気軽に行けるとは言い難い貴船神社。それでも行ってみようとの思いがあるならば、ご利益にあやかれるとよいですね。

なお、貴船神社は、参道の美しい本宮、中宮とも呼ばれる結社、もともと本宮があった奥宮の三カ所に分かれています。参拝順は、本宮→奥宮→結社と回るとよいとの話を聞きます。奥宮は「丑の刻参り」の伝説でも知られる場所で、貴船神社には古くから呪詛信仰もありました。ただ、本来の丑の刻参りは、貴船の神が貴船山に御降臨になったのが「丑の年の丑の月の丑の日の丑の刻」であったということから来ており、呪いの行事ではありません。冬の寒さが厳しい中でも参拝者の絶えない貴船神社。足元には十分注意をしてご参拝ください。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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