雪の大原 寂光院


先日、雪の大原寂光院へと足を延ばしてきました。

京都は洛北ほど雪が降りやすいのですが、常に雪があるとも限りません。何回か雪があるのではないかと大原に足を運んで空ぶっていることもあり、気象予報士としても、その見極めが難しいところです。さて、大原の雪は昨年もお届していました。宝泉院・実光院はこちらから、三千院と来迎院はこちらからご覧ください。昨年は時間の都合で寂光院には行くことができませんでした。市街地の雪が消えた1月18日の午後、今回はあえて寂光院だけを狙って出かけてみました。

途中、八瀬にも立ち寄りってみました。八瀬は市街地よりしっかりと雪が残っていて、雪の山里の雰囲気があります。その鎮守の社・八瀬天満宮も雪に包まれ、神秘的な雰囲気でした。過去に何度も書いてきましたが、やはり雪の神社はまさに神の存在をうかがわせそうなほど、静けさと厳かさがあります。前回訪れたのは赦免地踊りの時でした。その賑わいが想像できないほど、ひっそりとした境内。冬の八瀬の厳しさも垣間見たようでした。

この日は大原に入るとまだ雪が断続的に降り続いていました。日差しの戻っていた市街地からは想像することさえ難しいほど、完全に別世界です。大原は市街地よりは随分と雪の回復が遅れますので、一旦雪が降ってきたら、京都府北部の天気予報を見るとよいでしょう。さて、視界の悪い中を進み、なんとか寂光院に到着しました。寂光院は、楓の木が立つ参道の階段を登ったところに本堂があります。雪に包まれたこの参道は、建礼門院・徳子が隠れ住んだ時代から変わらない風景を見せてくれているような気がしました。

本堂前も雪に包まれ、同時に静寂にも包まれていました。時として深い雪が積もる大原の里。平安の昔は、都からはさぞ遠い遠い場所に感じられたのでしょう。その名に含まれる「寂」という文字がお寺の雰囲気を表しているかのようで、悲しき平家物語の結末ともあいまった不思議な感覚をこのお寺に来るたびに感じます。雪が降ればなおさらですね。大原といえども四六時中雪があるわけでもありませんので、年に何日間かこうした風景が見られるときに、あえて寒い中を進んで寂光院まで行ってみるのも通な過ごし方かもしれません(願わくば、大原のどこかのお宿で一泊されると最高ですが)。

おまけです。せっかく大原までやってきたので、古知谷の阿弥陀寺まで足を延ばしてみました。阿弥陀寺の山門までは行けそうですが、そこからお寺への道は険しく、この雪の中行けるかどうかと思いながらも、ひとまず行ってみると・・・、やはり、駐車場には「拝観ハ 休ミマス」の文字が。行けたら行けたで面白かったのですが、残念でした。

古知谷の阿弥陀寺は、京都の拝観寺院の中では秘境にあたる部類でしょうか。山中にあるため、積雪の多い日は拝観を休止されます。今回は山門の写真だけを撮って帰ってきました。その後、勝林院などへも行ってきましたが、三千院へは行きませんでした。大原のお寺はお庭などのレベルが高かったり、抹茶付のところもある分、拝観料が結構しますので、何回かに分けて訪れるとよいでしょう。なお大原に雪があるかどうかを知るには、寂光院のすぐそばにある民宿「大原の里」さんが設置されているライブカメラが有効です。私もよく見ていますが、天気予報の際にはこうした実況が非常に助かります。いつか京都旅屋が独自予報を出す際にも、大原と鞍馬・貴船と岩倉辺りに、観測に協力して下さる方を見つけられたらなと思っています。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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