雨水の京都 春と冬との戦い


今年は昨年より1日早く、2月18日が二十四節気の一つ、雨水(うすい)です。雪が雨に変わる頃です。

今日(17日)も寒い一日でした。気象レーダーで昨晩から洛北に弱い雪雲が流れ込んでいるのを見て、今朝は雪景色が見られると踏んで、早起きをして銀閣寺や詩仙堂・円光寺の美しい風景を拙いながらカメラに収めてきました。また近日中にご紹介したいと思います。それにしても、気象台では今シーズンまだ1cm以上の積雪は観測されていません。つまり、今シーズンの京都の雪は降っても山沿いに限られ、市街地では一度も本格的な積雪となっていないのです。二十四節気で「雨水」を迎えるころは、京都では最高気温の平年値が10℃を超えてきて、ますます雪が積もる可能性が低くなります。ただ、今年はまだチャンスはありそうです。なんとか、一度くらいは一面銀世界の京都の風景をお届けできたらよいですね。

寒い一方で、日差しは着実に輝きを取り戻してきて、この時期は仮に雪が積もっても、日差しの強さによって雪はあっという間に姿を消していきます。雪景色を見るならば、必ず早起きが必要になっても来ます。この2月は、当初は気温が高めの傾向が見込まれていましたが、ここまでのところ、目立って高かったのは最初の3日間だけで、以後は平年並みか低い日が続いています。そして最新の1か月予報では、このまま2月いっぱいは平年並みか低い状況が続きそうで、本格的な春らしさが訪れるのは3月上旬からとなる見込み。この傾向は昨年と似ています。そのため、梅の開花が今年も遅く、まだまだ蕾が固いところも多くなっています。

一方、桜はどうかというと、日本気象協会が2月7日に出した予想では、京都では3月25日と平年より早いと予想されています。ただ、気象協会の解説文を読むと「2月は平年並みか高く」と見ています。16日に出された最新の1か月予報は前記の通り「高く」はならない見込みとなっていますので、そのぶん開花予想日も後ろ倒しで見るべきでしょう。もう一つ、ウェザーマップ社が2月15日に発表した開花予想では平年日ぴったりの3月28日と予想しており、現時点ではウェザーマップ社の予想の方に妥当性があると思います。

桜が梅のように遅くはならないのは、今年は12月・1月ともに寒く、桜が休眠から目覚めるのに必要な寒さが十分あったからだとされています。桜が咲くにはこうした寒さも必要で、沖縄では寒気の影響を受けやすい北部から先に桜が咲き出し、桜前線が「南下して」いきます。今年は、梅が遅く、桜が平年並みということで、恐らく梅と桜が同時に咲くという光景もまた見られるのではないでしょうか。

先日、城南宮を訪れた時に、美しい盆梅が置かれていました。こうして春を感じさせてくれるのは嬉しいですね。城南宮は見事な枝垂れ梅がありますが、こちらはまだつぼみで、見頃は3月上旬となりそうです。また、伏見の松本酒造横の堤防には、今年も菜の花が植えられていました。もちろんまだまだ背は低いものの、黄色い花は見せてくれていて、寒空の下で一足先の春に出会えた気持ちでした。

「雨水」の文字の通り、雨水が降るようになるということは、春の空気が冬の空気と戦っている証拠でもあります。実際、今年も既に冬と春の戦いの火ぶたは切って落とされていて、その結果2月の降水量が西日本を中心に例年よりも多くなっています。明日18日も雨で、今月は多雨傾向がさらに強まりそうです。春と冬の戦いは規模が大きく、前線が長く描かれるのも特徴かもしれません。冬型は持続性が強い気圧配置で、いわば江戸幕府のような長期安定政権。一方の春は周期変化が特徴で、目まぐるしく主役が変わる戦国期や幕末にも近いものがあります。南岸低気圧は、春が送り込んだ刺客のごとく、雨雪の予想が非常に難しくて悩ましい「天誅」の嵐を世に巻き起こして行きます。大河ドラマの八重の桜では、幕府方の会津藩がいよいよ反体制派の厳しい取り締まりに転じますが、この時期は冬もまだまだ勢力が潤沢です。春の刺客は南方へとはじき返され、冬の冷たい空気が日本を譲らないのが当座のシナリオ。

ただ、大河ドラマのように「春が勝つ」という大筋はもうわかっています。どのような道筋でそこに至るか。これが毎年違うところが、気象好きが飽きないところなのでしょう。また、春は気まぐれで激しい一面も持っていて、気象が災害が起こりやすくなる季節でもあります。大雨が降ったかと思えば乾燥し、穏やかかと思えば大風を吹かせ、時には雹や雷さえ落としていきます。某局の「春ちゃん」のような春の穏やかさはほんの一面で、春はむしろ気性の激しい存在です。すでに風雲急を告げる「幕末」に入ってきていますので、天気の変化は速く、気象情報はこれまで以上にまめにご確認いただくとよいでしょう。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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