向日神社をはさむ向日市天文館と元稲荷古墳


前回ご紹介した向日神社を南北から挟むようにあるのが、最新式のプラネタリウムを備えた向日市天文館と、乙訓最古の古墳・元稲荷古墳です。

向日神社も数々の歴史を秘めていますが、その北側にあるのが乙訓最古の古墳・元稲荷古墳です。全長94mの前方後方墳で、前方後円ではなく「後方」というやや珍しい古墳です。全長94mというのは実際に現地で見るとかなり大きく、例えば五条通や御池通が端から端までで約50mですので、その倍の大きさと考えれば想像しやすいかもしれません。古墳は前方部が高さ約3m、後方部はさらに高い約7mで、堂々たる威容を誇っています。

古墳は付近では最も古く、4世紀前半から3世紀後半の築造と推定されています。元稲荷古墳が向日山に作られているのも、非常に古くからこの山が神聖な場所として認識されていたからで、向日神社の創建にも何かしらその一族が関与しているのかもしれません。向日丘陵には他にも同規模の古墳が並び、古墳好きには面白い地域でもありますが、傾向としては時期が新しくなるほど北に作られています。

元稲荷古墳は、つい先日立ち入り調査が認められたことで話題となった箸墓古墳のほぼ3分の1の全長で、前方部と後方部の比率も箸墓古墳と一致しているそう。そのため、大和と繋がりを持った有力者が被葬者像として浮かび上がって来ます。残念ながら後方部の中央にあった竪穴式石室は大半が盗掘にあっていますが、発掘調査では鉄製武器や鉄製工具や、埴輪も見つかっています。

他のブログによると、元稲荷古墳の後方部には明治期まで稲荷社がありましたが、現在は向日神社に勝山稲荷社として移されています。そのため古墳名が「元稲荷」となっています。また現在の後方部頂上には、昭和期に水道の配水池が建設されています。その後、昭和45年には前方部を含む土地の売却騒ぎが起こりましたが、市は古墳や神社の保全のため土地を買い上げ、古墳の周りは勝山公園として整備されて現在に至っています。元稲荷古墳には上ることも出来て、子どもたちの遊び場ともなっています。

元稲荷古墳は現在も発掘が続けられており、このブログを書いているまさにその日にも新たな報道発表がありました。その記事によると、墳丘の形は直線で60km程離れた神戸市の西求女塚(にしもとめづか)古墳と同型であるとのことです。実は私は学生時代は考古学を専攻していたこともあって、今でも考古学の新たな発見には気持ちが動かされます。考古学は発掘や研究の進みに年単位の時間を要するためゆっくりとしか進展してきませんが、この先も着実に新しい発見が積み重なって、歴史が解き明かされていくのでしょう。

一方、向日神社の南には向日市天文館があります。天文館は昨年リニューアルオープンをしたばかりで、最新式の投影機が設置され、まるで映画のようなプラネタリウムを楽しむことができます。しかも料金はたったの200円。土日は子ども向けから一般向けまで投影内容が充実しています。私も、この日はたまたま時間があったので見てみたのですが、そのクオリティに驚くばかり。見終わって出てきた時は、自分が神社の隣にいたことが信じられないような思いでした。最近のプラネタリウム映像はすごいです!

これは正直見なければ損といったレベルの代物であるにもかかわらず、私が見た時間帯は私だけの貸し切りという状況でした。プラネタリウムを一人占めとは贅沢極まりないですね。プラネタリウムは、その日の星空と番組を合わせて45分程の投影時間となります。投影時刻など、詳しくは向日市天文館のホームページをご覧ください。このように向日神社は、神社そのものにも面白い歴史があり、天文館で宇宙のロマンにも触れられ、大きな古墳に太古のロマンを感じることができます。春の桜と秋の楓は見事ですし、一見の価値がある場所。機会がありましたら訪れてみて下さい。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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