妙蓮寺の御会式桜


西陣の妙蓮寺に、秋から冬を経て春に満開となる御会式桜が咲いています。

妙蓮寺は日蓮宗のお寺で、枯山水の庭園や長谷川等伯が描いたクリスマスツリーのような鉾杉の絵でも知られます。また、椿や芙蓉といった四季の花もある、西陣の花の寺でもあります。そんな境内に咲く御会式(おえしき)桜は、秋から冬を経て春にかけて花を咲かせ、春には満開となる不思議な桜。最近の暖かさで、花の数もずいぶんと増えてきました。寒い時期にもチラホラと優しいピンク色の花を楽しませてくれていましたが、さらにこうして花の数を増やして春を教えてくれるのも嬉しいですね。

妙蓮寺は、昨年まで本堂の工事を行っていましたがそれも完了しました。修理を担当していた業者は「金剛組」。「日本で最も古い企業」として知られており、創業は驚きの西暦578年!!これは聖徳太子の時代で、太子が四天王寺を建立する際に設立されました。実は金剛組は世界一古い企業でもあり、ギネスブックにも載っているそうです。ちなみに、日本には創業1000年を超える企業は7社しかありませんが、2番目に古いのが「華道家元池坊」。六角堂が建てられた587年設立となっています(東京商工リサーチの「全国老舗企業調査(2012年)」による)。

御会式桜の「御会式(おえしき)」とは、日蓮上人の命日に当たる10月13日に行われる法要のことで、桜は秋の御会式のころから咲き始めるために「御会式桜」と呼ばれています。さらには春が近付くにつれて花数を増やし、4月8日のお釈迦様の誕生日の頃に満開となる珍しい桜です。現在は綺麗になった本堂にもよく似合って美しく咲き誇っています。この桜を見に訪れる近所の方も多く、寒い中でも頑張って花を咲かせる姿は人の心に響くのでしょう。また、御会式桜の花びらを持ち帰ると恋が成就するとの言い伝えもあるそうです。ただ、直接木から花びらを取ったり枝を折るのは厳禁!それでは実るものも実らないでしょう。必ず散った花びらを拾って持ち帰るようにしましょう。

さて、妙蓮寺は古くから椿で有名な寺でもありました。室町時代、連歌師として名高い飯尾宗祇は、妙蓮寺の椿を愛でてこんな歌を残しています。「余の花は みな末寺なり 妙蓮寺」。・・・妙蓮寺の椿が殊のほか素晴らしく、余(世)の花はその末寺のようだとの意味ですが、実は妙蓮寺そのものも当時は大いに栄えていて、世の寺が皆末寺のような勢いだの意味も込められているそうです。

「椿」の漢字は、木へんに春と書きます。春先から咲き始める花として、当たり前のように「つばき」と読みますね。ただ、これは日本で作られた独自の文字(国字)です。椿は日本原産の花で、古事記や日本書紀などにも登場します。園芸品種として種類も多く、椿油は現在でも洗髪の用途で使われ、不老不死の仙薬としても珍重されてきました。京都に似合う花でもあり、詩仙堂や霊鑑寺、城南宮などなど、各地で美しい花を見せてくれます。妙蓮寺の椿は早咲きで知られますが、椿の開花時期はばらつきが大きい「気まぐれ」な部類に入り、今もまだまだ蕾がたくさんついていました。妙蓮寺は四季に美しい花の寺でもあります、お近くに行かれた際は覗いてみて下さい。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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