松尾祭 神幸祭 2013年

松尾祭 神幸祭 2013年
4月21日に、松尾大社松尾祭・神幸祭が行われました。今年は強風のため、船渡御は中止となってしまいました。

松尾祭 神輿桜が終わった京都は、5月にかけて毎週のように春祭りが続いていきます。4月20日以降の日曜日に行われるのが、松尾大社、松尾祭の神幸祭です。神幸祭は、神社に鎮座している神々が、神輿に乗って氏子町内を回り、神様の旅館のような御旅所へと入るお祭りです。普段は氏子が神社まで足を運びますが、祭りの時は神様が出向いてくれ、まさに氏子町内に神の幸(さち)を与えていくのです。このように、氏子町内に神様の方から来て下さることから、松尾祭に限らず神幸祭は通称「おいで」とも呼ばれています。

桂大橋を渡る神輿春祭りは、秋の五穀豊穣、夏を前にした疫病鎮め、祖先への崇拝(家内安全)などの信仰によって行われ、今年は松尾祭の同じ日に伏見稲荷大社の稲荷祭の神幸祭も行われています。松尾大社も伏見稲荷大社も、創建したのは秦氏で、同じルーツを持つ神社が同一の日付にお祀りを行うのも面白いですね。稲荷祭の神幸祭については、近日中のブログでご紹介予定です。神輿が帰る還幸祭では、稲荷の神輿は東寺で御供を受け、松尾の神輿は西寺跡に集合します。京都の2大官寺と秦氏との繋がりは、現代に伝わる祭りの風習からもうかがい知ることができます。

船渡御が中止で桂大橋を渡る松尾祭は平安時代から行われている由緒ある祭りで、松尾大社・神幸祭の目玉である船渡御は長く途絶えていましたが、1983年に氏子たちの手によって再開されました。ただ、神輿の重さは1トンはあるそうで、強風や川の増水の際には安全を考慮して中止となります。今年は強風が吹き荒れ、12年ぶりに中止となり、氏子の皆様も残念がっておられました。船渡御が行われる桂大橋の辺りは、周りに遮るものがないため特に北風が吹きぬけやすく、この時期としては強い寒波が押し寄せた今回のような気圧配置では、中止となるのも致し方ないかもしれません。(強風の様子は動画もありますのでご覧ください。)

堤防を下る神輿このため、神輿は船に乗らず、桂大橋を巡行していきました。これもある意味貴重な光景です。かわりに見せ場となったのは、堤防から神事が行われる河原の広場に下りる場面。なかなかの下り坂ですので、息を合わせて慎重に下って行き、「ホイット ホイット」の勇ましいかけ声が辺りに響き渡りました。松尾祭では6基もの神輿が出、それぞれが無事に下ると神事が行われて、各御旅所へ再出発していきます。京都新聞の記事によると、今年は西七条御旅所に近い七条通御前付近で、初めて3基の神輿による差し上げが行われたそうです。

船渡御が行われた月読神社の唐櫃さて、中止となった船渡御ですが、実は神輿ではない、月読神社の唐櫃とお稚児さんや神職が乗った船は、船渡御が行われていました。私もちょうど出発するころ合いに到着し、その様子を眺めることができ、ラッキーでした。現地はかなりの強風で、神輿を川に沈めてしまうわけにはいきませんので、神輿の船渡御の中止は致し方ない判断でしょう。今年は最高気温が13.2℃までしか上がらず、風もあって非常に寒い一日でしたが、担ぎ手の熱気はそれを感じさせませんでした。神輿の様子は動画もありますのでご覧ください。また、神輿が帰る還幸祭の様子は昨年のブログに記載していますので、よければご覧ください。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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