八十八夜 遅霜に注意

夏も近づく八十八夜
近年の5月としては強い寒波が訪れています。5月2日は八十八夜。八十八夜の別れ霜という言葉もありますが、今年はまだしばらく注意が必要です。

松原橋からの鴨川 5月2日5月に入り寒波がやってきました。京都も日中は15.4℃までしか上がらず、なかなかの低温です。とはいえ、京都では全国的に言われているほど「記録的」ではありませんでした。京都に関して言えば、この時期に同レベルの寒気は、昨年や2008年にも訪れています。マスコミ報道は「記録」を大げさに伝えがちな部分は否めませんが、強い寒波がやってきていることは事実です。

5月からは納涼床も始まった2日は八十八夜で、立春から数えて八十八日目にあたることからそう呼ばれています。あと3日で立夏を迎え、文字通り「夏も近づく八十八夜」。茶摘の時期としても知られ、宇治からはそんなニュースも聞こえてきました。「八十八夜の別れ霜」という言葉もあり、通常はこのころに霜の心配もなくなってきますが、京都では今夜の時点で霜注意報が発表中です。

霜を防ぐファン霜注意報は地域によっても少し基準が異なりますが、京都府南部一帯では最低気温が3℃以下になりえる場合に発表されます。この場合の「最低気温が3度以下になりえる」というのは、通常の天気予報で出される「京都の予想最低気温」とは基準が異なり、山沿いや盆地など局地的にでも3℃以下になりえると判断されれば霜注意報が発表されます。気象台の発表では、明日(3日)の京都の予想最低気温は7℃。一見、霜注意報の基準とは矛盾しているように見えますが、翻訳すれば「気象台付近では7℃、山沿いなど局地的には3℃以下になりえる」という予報となります。

遅霜に注意が必要京都の予想最低気温7℃も低温で、近年の5月では2010年の6.9℃、2003年の7.0℃に匹敵する低温予想となっています。とはいえ、それは「近年では」の話。記録を紐解けば1991年に4.5℃があり、1970年代から1960年代には、5月でも7℃~6℃台が記録されることは珍しいことではありませんでした。1900年頃までさかのぼると、最低気温が0℃台という、今では想像もできない氷が張るほどの低温の日が数年に一度ありました。「京都の底冷え」はすでに「昔話」ではないかと、実際に住んでいる予報士としては感じます。

和束町の茶畑さて、八十八夜の茶摘の話題は、実は「イベント」としての意味合いも強く、現実の茶摘の時期はその年の気候によります。影響が大きいのは3月・4月の気温と、2月・3月の降水量です。今年は、一番茶の芽吹きを示す萌芽宣言は4月3日で、平年より3日早いものの、実はこの平年も数十年単位で見れば早まっています。気候の変化はゆっくりゆっくりと、しかし確実に記録上に見て取れますね。

新緑の宇治茶など作物の萌芽が早い傾向がある近年では、今回のように霜の降りそうな寒波は遅霜の影響を強く受けやすく、被害が増す傾向にあります。京都に限らず、全国的に目先しばらく朝の低温傾向が続く予報ですが、少しでも被害が小さくなればと願うばかりです。特に宇治は、平等院や宇治上神社の修復などで観光が打撃を受けていますので、お茶までもとならないように、心配が尽きません。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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