斎王代・女人列 御禊(みそぎ)神事 2013年

斎王代・女人列 御禊(みそぎ)神事 2013年
4日は、下鴨神社で斎王代・女人列 御禊(みそぎ)神事が行われました。斎王代を中心に煌びやかな平安装束に包まれた一行が、下鴨神社の御手洗(みたらし)川で身を清める神事です。

神事にのぞむ斎王代と女人この神事は、その年の葵祭のヒロインである斎王代が十二単の衣装で初めて登場するため、報道各社もずらりとカメラを並べる注目度の高い神事です。斎王代などの女人列は昭和31年(1956年)に復活し、以降、御禊(みそぎ)神事も上賀茂・下鴨の両神社で隔年交代で行われ、今年は下鴨神社の順番です。下鴨神社は上賀茂神社よりも圧倒的にアクセスが良いため、多くの人が斎王代を一目見ようと集まってきます。禊を行う場所はマスコミと参列者の席でほぼ埋まり、一般の方は横から見るしかありませんが、場所が狭いため、禊の場面の写真を撮るのは非常に難しいです。今年の最前列は午前6時の開門から10分で埋まってしまったそう。私も2時間前には行きましたが、3列目に入るのがやっとでした。

斎王代は、かつて賀茂の神に仕えた皇族の未婚の女性・「斎王」の代理という意味の呼び名です。斎王は平安時代の嵯峨天皇の世に始まって、鎌倉時代初めの後鳥羽天皇の代まで続きました。この初代の斎王を務めた方は「有智子(うちこ)内親王」と言いますが、実は嵯峨野散策をしていると、この方のお墓の前を知らず知らずのうちに通っている方が結構いるかも知れません。場所は落柿舎(らくししゃ)のとなりで、比較的目立つ陵墓。ちなみに、嵯峨天皇は嵯峨野の地に離宮を構えたため「嵯峨」の名がおくられ、その皇女である有智子内親王も嵯峨西荘で亡くなっているため、陵墓が嵯峨の地にあります。

お祓いを受ける斎王代斎王の制が始まったのは、嵯峨天皇とその兄・平城上皇との争いである「薬子の変」の平定を、嵯峨天皇が賀茂の神に願った際に、願いが叶えば賀茂の神へと奉仕する女性を出すと願をかけたためです。その後、無事に鎮圧された暁として、嵯峨天皇の皇女・有智子内親王は僅か4歳で斎王となり、以後20年ほどお役目を務められました。なお、斎王は斎院と呼ばれる場所で清らかな生活をしていました。有智子内親王が過ごした斎院の場所ははっきりしないそうですが、現在の櫟谷(いちいだに)七野神社付近に、歴代の斎王が過ごした斎院があったと考えられています。

禊から戻る斎王代斎王は神に仕える身として身を清める禊(みそぎ)を行う必要がありました。現代でも神社には手水屋がありますが、水には穢れを洗い流し、身を清める役割があります。賀茂の神は賀茂川(鴨川)に沿って鎮座する水の神であり、現在も上賀茂神社・下鴨神社には小川が流れています。両神社の参道はその小川の上を橋で渡っていて、参拝者も参道を通ることで、知らず知らずのうちに穢れを落としてから参拝をしているのです。かつての斎王は鴨川で穢れを落とす禊をしていましたが、現在の斎王代は、それぞれの神社にある御手洗(みたらし)川に手を浸して禊を行います。また女人列の皆様は、下鴨神社では「斎串(いぐし)」に穢れを移すことで身を清めます。

参拝に向かう女人列様々な歴史的背景はあるにせよ、斎王代や女人列はその美しい平安装束から純粋に「雅(みやび)」と感じられるもの。やはり毎年見るたびに、その美しい衣装に目をひかれます。禊神事の斎王代は重さが20kgほどはある十二単(じゅにひとえ)の衣装を着て、ゆっくりと歩かれます。こうした一つ一つの所作も「雅」さを高めているのかもしれませんね。ちなみに斎王代は一般公募はしておらず、京都ゆかりの寺社や文化人の令嬢から選ばれるのが通例となっています。その理由は、一説には高額の費用がかかるためともいわれます。葵祭の行列(路頭の儀)の催行だけで2900万円、雨が降ればクリーニング代金に数百万円から1000万円。その他の神事諸々を入れると、さらに費用がかかるはずで、雅さの裏には現実的な話も隠されています。

斎王代 一般向けの撮影にてさて、禊と記念撮影を終えた斎王代と女人列は、中門前に移動して下鴨の神に参拝をし、続いて神服殿に移動をして、一般向けの記念撮影に応じてくれました。こうした心配りがあるのは嬉しいですね。斎王代はその後、メディアの取材にも応じていました。儀式はこれで終了で、女人列は一足先に参道へと進み、順次大型バスに乗り込んで衣装を着替える京都御所まで戻っていきました。

斎王代斎王代はメディアの取材が終わった後、神職に先導されてゆっくりと参道戻ってこられました。多くの方が写真を撮ろうとしますので、誘導がなかなか大変そうでしたが、今年の斎王代の長瀬さんは笑顔で応じてくれました。長瀬さんは京都出身で、現在は東京在住とのこと。斎王代は葵祭以外にもこの先1年間の各行事に登場しますので、行き来をすることになるのでしょう。大変なお勤めですが、無事に大役を果たしてほしいですね。この日の禊の様子は動画もありますが、いかんせん手をいっぱいに伸ばして撮影した分、手ぶれが激しいですのご容赦ください。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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