祇園祭まで2か月 祇園囃子の練習

祇園囃子の練習
今日は5月17日、祇園祭の山鉾巡行が行われる7月17日までちょうど2か月。今夜、偶然にも祇園囃子の練習場面に出会いました。

山鉾巡行 四条河原町に入る長刀鉾今年と来年の祇園祭は、長い長い祇園祭の歴史においても特別なものになるでしょう。2014年に大船鉾が復活するのに伴って、現在7月17日に行われている全ての山鉾の巡行が、元の通りの2日間に分かれることが発表されているためです。つまり、現在のように32基(+1基)の全ての山鉾巡行が見られるのは今年が最後。来年からは、7月17日と7月24日の2回に分かれて山鉾巡行が行われるのです。

山鉾巡行 船鉾そもそも山鉾とは何か?お神輿ではありません。お神輿が出る前に、街々を巡行して疫神(えきじん:疫病を広める神)を集め、街を清めるのが山鉾の役割。他の神社の祭礼では、神輿の前に登場する剣鉾に相当するものが巨大化しているのが祇園祭の山鉾ということです。祇園祭は八坂神社のお祭りで、そのお神輿は7月17日の夜に巡行をして御旅所に入り(神幸祭)、24日の夜に再び八坂神社へと戻っていきます(還幸祭)。すなわち、神輿に先行して街を清める山鉾も、本来は17日(先祭り)と24日(後祭り)のそれぞれ巡行するのが本来の形です。

八幡山の駒形提灯それが、戦後の昭和41年に交通事情や観光への影響を考えて、全ての山鉾巡行が17日にまとめて行われることになりました。巡行経路は昭和31年に決められた、四条通→河原町通→御池通と定まりました。この時も祭りを行う地元からは反発があって、鈴鹿山は抗議のため巡行に参加しないという抵抗を見せています。今でこそ、当たり前のように32基の山鉾が一度に巡行していますが、祇園祭の長い歴史からみれば、むしろ現在の形態が「変」なのです。

八幡山のちまきご年配の方は山鉾巡行が2日に分かれていた時代をご存じの方も多く、あるべき姿に戻したいと願うのも自然の流れでしょうか。2014年に150年ぶりに復活する大船鉾は、後祭りの最後を巡行する鉾で、後祭り復活の後押しともなっています。観光的にはどうなるのか?正直、まだ具体的にどう2日に分けるのかが発表されておらず、未知数としか言えません。ただ、巡行が分かれるということは、宵山も分かれることになり、24日の後祭りの町内は粽の売り上げが減り、維持修繕の費用が賄えなくなるのではという危惧があったり、巡行経路はどうするのか、24日に行われてきた花傘巡行はどうなるのかなど、懸念事項はいくつもあります。

祇園祭 保昌山と満月一方で、現在の山鉾巡行は最初の長刀鉾から最後の山鉾まで、およそ4時間前後もの長丁場。年によっては梅雨明けもした炎天下の中で、そこまで長時間見ている人も稀です。例年、巡行の後半にはガラガラになった有料観覧席が目につきます。その意味では、2回に分かれることで、トータルでは観光客も増えるのではという見方もありますし、宵山(人出40万人)から17日(同20万人)の異常な混雑ぶりも少しは分散されるでしょう。いずれにしても、今年が全ての山鉾を一度に見られる最後の年となるのは確かなようで、きっと私が年を取ったころには「私の若いころには、山鉾巡行は一日でやっていた」と昔話をするようになるのでしょう。

長刀鉾町 稚児舞披露 2012年さて、祇園囃子の練習は各山鉾町で曜日を決めて行われています。秋や冬の寒い時期にも行われていて、私のように近くに住んでいると、偶然通りかかって聞こえてくる祇園囃子をいつも楽しませてもらっています。寒い時期に聞くお囃子もよいですが、こうして暖かくなってきて聞く方が、やはり似合っているように思います。あと2か月で、最後の32基(+1基)のそろい踏みが見られます。今年の山鉾巡行は必見ですね!なお、6月29日(土)に、らくたびさん主催で「祇園祭講座」を行う予定です。各行事の見どころを、写真や動画に加え、実際に見てきた経験を踏まえて解説します。詳細は後日掲載予定です。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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