梅雨入り発表の価値

三千院 雨の往生極楽院
5月28日に近畿地方の梅雨入りが発表されました。

雨の鴨川先日ブログに書いたとおり、気象台は梅雨入りさせてきました。梅雨入り(梅雨明け)は人為的に季節に境目をつけるものです。ですので「梅雨入りする」のではなく「梅雨入りさせる」というほうが適切ではないかと感じています。私は速報として梅雨入り(梅雨明け)を発表することには反対の立場です。今回は、すんなりとわかりやすい梅雨入りとなりましたが、年によっては非気象学的なタイミングで梅雨入り(梅雨明け)となることもあるためで、時として専門家の間では物議をかもしだすことさえあります。

京都市街地の紫陽花それだけ、人間が季節にはっきりと境目をつけることは難しく、気象台も梅雨入りの発表について「梅雨は季節現象であり、その入り明けは、平均的に5日間程度の「移り変わり」の期間があります。」と、補足の文章を出しています。しかし、世間にはなかなかそうした正論は伝わらず、「○月×日(頃)」と特定の日付で発表している以上、外国の乾季と雨季の境目のように、その日を境に天候が変わると受け取られがちです。そのため「梅雨入りしたのに晴れている」というような、双方にとって不幸な話も出てきます。

雨の寂光院にてまた、梅雨入りは地域単位で発表されるため、例えば近畿の場合、和歌山で雨が降り始めても、兵庫北部で雨が降っていなければ、発表を見送ることもあります。一方で、梅雨入りが平年より大幅に遅れている場合などは、地域全体で梅雨らしくならずとも気象台は梅雨入りさせるでしょう。このように、速報としての梅雨入り発表とは、純気象学的なものではなく人為的に判断されるもの(気象台は表向きには認めないかもしれませんが)。果たしてそのような情報にどれだけの価値があるのだろうか?と考えてしまいます。(なお「速報」と書いたのは、気象台は後日気象解析をして、より正確な梅雨の期間を確定させるためです。)

雨の来迎院一方で、梅雨入り発表の価値の一つは、大雨被害が発生しやすい期間に入ったと、世に周知させるという部分です。梅雨末期には、近年激甚な災害が発生することが多くなっています。この夏にも「特別警報」の運用が始まるとの報道もあるように、いかに危険性を周知させるかということは予報関係者の課題です。梅雨入り発表にあわせて、報道に携わる予報士は過去の大雨被害を解説するなど、警戒のきっかけとなればとも思います。

増水した鴨川さて、今年の梅雨はどうなるか。1か月予報などを見ると、6月は降水量が多くなる可能性が示唆されていて、空梅雨ではなさそうです。気象台による7月の天候予想も「平年と同様」とのコメント。近畿では7月21日が梅雨明けの平年日。願わくば祇園祭の山鉾巡行(7月17日)までには、あけてもらいたいところです(笑)いよいよ梅雨に入り、また季節が進みました。大雨シーズン、気象情報にはいつも以上に注意をして下さい。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です