鞍馬寺 竹伐り会式 2013年

鞍馬寺 竹伐り会式
6月20日に鞍馬寺で竹伐り会式(たけきりえしき)が行われました。

鞍馬寺 竹伐り会式竹伐り会式は、平安時代の宇多天皇の時代に峯延(ぶえん)上人が大蛇を法力によって退治し、その亡骸が切り刻まれて捨てられたという故事にちなんで、竹を蛇に見立てて豪快に伐っていく行事です。江戸時代の中ごろから、丹波と近江の両座に分かれて伐る速さを競い、その年の豊作・凶作を占う行事にもなりました。かつては京都の奇祭の一つにも数えられ、都名所図会にもその様子が登場します。

鞍馬寺 竹伐り会式に向かう法師今年は雨の降りしきる中で行われました。鞍馬駅を降りるとちょうど「弁慶かぶり」をした法師の一行が鞍馬寺に向かうところに遭遇しました。傘をさしてゆっくりと歩いていきます。法師とは呼ばれますが、出仕をされているのは鞍馬の地元の仲間衆で、道具は先祖伝来の物を使っているそう。腰には南天の枝を差しているのも特徴です。

鞍馬寺 竹伐り会式一行は、鞍馬の山道を歩いていくのかと思いきや、ケーブルに乗っていきます。この日は見物客でもケーブルは混みあいますが、やはり祭りに参加をされる方々優先です。時間に余裕を持っていかれるとよいでしょう。毎年梅雨の時期に当たるため雨が降ることも多く、その割に人も多く集まりますので、傘をさすとなかなか見ることができません。カッパを持参されるなど、雨対策をしっかりとして行ってください。

鞍馬寺 竹伐り会式 七度半の使い儀式は午後2時に始まり、関係者が本殿に入った後、牛若丸の装束をした稚児による「七度半の使い」が始まります。幼子が手を引かれて両座の間などを行き来して言葉を述べる、かなり可愛らしい儀式です。

鞍馬寺 竹伐り会式その後、勝負に使う竹の長さをそろえる「竹ならし」が行われ、長い雄竹を伐って短くし、本番用の長さにそろえていきます。この時もできるだけ刀を入れる回数を少なくするのがよいそうです。人によってあっさり伐ってしまったかと思えば、なかなか伐れなかったりしました。

鞍馬寺 竹伐り会式ちなみに、この雄竹が切り刻まれた「大蛇」に見立てられていて、もう一本の雌竹は伐らずに儀式の後で再び山に戻されます。雌竹は峯延上人が法力で雄の大蛇を退治した後に現れたもう一匹の大蛇で、暴れることがなかったので上人はこれを助け、大蛇は鞍馬山の香水(こうずい:本尊にお供えする水)を絶やさないようにすると誓ったと伝わります。

鞍馬寺 竹伐り会式 舞楽続いて法要が行われます。鞍馬寺は今は独自の宗派ですが、かつては天台宗だったため天台声明(しょうみょう)のような旋律が聞こえてくるのもまた面白いところ。法要に続いて、舞楽が披露されます。舞楽は「南天招福の舞」と呼ばれ、南天は「難を転ずる」を表し、竹を伐る法師も腰に南天の葉をはさんでいます。災難を吉事に転ずる意味と大蛇退治の毒を消すという意味を持っています。

鞍馬寺 竹伐り会式舞楽が終わるといよいよ竹伐り会式が始まります。導師が檜扇を開いて三度上下し、その三回目を合図として一機に竹を伐っていくのです。カンカンカンと音が響き渡って、勢いよく竹を伐りはなち、早く終わったものがかけ声をあげて本坊へと駆け込みます。僅か30秒から1分程の出来事です。

鞍馬寺 竹伐り会式 竹を拾う子ども今年の結果は、丹波座の圧勝でした。竹ならしから丹波座の方が素早く伐っていましたので、そのまま本番にも差が出た形です。今回の私は敗れた近江座の前で見ていましたが、位置は最前列と良い位置で動画を撮影してきました。勢いよく竹を伐る様子などは、是非動画でご覧になってみて下さい。


ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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