元祇園梛神社の茅の輪くぐり

元祇園梛神社 茅の輪くぐり
先日、元祇園梛神社などで茅の輪くぐりを見てきました。

元祇園梛神社 茅の輪くぐり元祇園梛神社は「もとぎおんなぎじんじゃ」と読みます。場所は四条大宮から四条通を西へ進み、坊城通との交差点南西角です。坊城通を下がれば「壬生」で、新撰組の頓所だった八木邸や、壬生寺も坊城通に面しています。元祇園梛神社は「もとぎおん」と名付けられているように、祇園社、すなわち八坂神社と関係があります。ご祭神は八坂神社と同じスサノオノミコトです。

元祇園梛神社 茅の輪くぐり京都検定(すなわち八坂神社の社伝)では八坂神社の創建は656年となっていますが、実は諸説あります。その一つが、平安時代の貞観18(876)年説です。この年、都で疫病が流行ったため、播磨国から牛頭天王(ごずてんのう)の分霊をお迎えし、八坂の地に祀ったというものです。牛頭天王は、スサノオノミコトと同一の存在であるとされ、疫病を広めるとして崇められました。この時の牛頭天王の神迎えに際し、一旦牛頭天王が乗った神輿を梛の林において仮に祀ったのが、梛神社の始まりとされます。祇園社ができる前に祀られたということで、元祇園と呼ばれているわけですね。

元祇園梛神社 持ち帰り用の茅かつて梛の木は数万本あったともいわれますが、今はその面影はありません。梛は「なぎ払う」に通じるため、厄除けや困難なことを乗り越える縁起の良い木とみなされていました。現実にはこの場所は平安時代には都の中心を貫く朱雀大路にも近く、本当に数万本もの梛の木があったとは考えにくいですが、いずれにしても古い由緒を持つお社です。

元祇園梛神社 茅の輪を作る以上のように、もともとが疫病鎮めのために由緒を持つため、半年間の罪穢れを落として夏の平穏無事を願う夏越祓にも、地元の方が大勢訪れていました。茅の輪くぐりは京都のあらゆる神社に登場し、京都に住む方にとっては欠かせない行事の一つです。初めて見ると、その浸透の深さに驚かされるかもしれません。

天道神社 茅の輪くぐり梛神社では持ち帰り用の茅(ちがや)も用意してあり、各々が小さな茅の輪を作って持ち帰っていました。玄関の内側に飾ることで家の中に疫病が入ってこないといわれています。この日は他にも、天道神社・京都大神宮・火除け天満宮でも茅の輪を見てきました。本当に社の大小問わずに登場しますので、京都に6月終わり頃に来られる際は、是非茅の輪をくぐってみて下さい。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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