予測が難しい豪雨災害

増水した鴨川と二条大橋 2011年
山口や島根の一部で、猛烈な雨が降り続きました。こうした豪雨は事前の予測が難しいという特徴があります。

増水で流された流木山口県東部と島根県西部で猛烈な雨が降ってしまいました。昨日も少し書きましたが、真夏の豪雨の恐ろしさはその集中度にあります。須佐では3時間で300mmを超える、信じがたい雨量が観測されました。1時間雨量の最大も138.5mmで、その激烈さは人間が恐怖を感じるレベル(80mm/h)をはるかに超えています。見る間に溢れる水や降りやまない雨、険悪な雲を映し出す気象レーダーを見ているだけで、辛いものがあります。

増水で避難をしている鴨こうした豪雨は、事前の予想が非常に難しく、降り始める段になってようやく警戒を呼び掛けることができます。というのも、豪雨においては、普段の天気予報の元になっているコンピューターの計算結果はあまりあてにならず(豪雨が表現されないことも多い)、実況を見ながらの判断になるため「現状でこうなら、この先はこうなる」という予想は出来ますが、現状で降っていない時に、コンピューターでも計算されていないものを「降る」と予想して発表するのは、技術的のみならず予報担当者の心理的にも非常に難しいものがあります。

増水した桂川今回の場合、午前4時で既に山口や島根の一部で激しい雨が観測されだしました。気象台の気象情報や警報が出されたのはその後でした(大雨・洪水注意報は比較的早く出ていたのではと思います)。また、「どこかで降る可能性はある」とは予想できても、具体的に「いつ、どこで、どれくらい」という注意喚起は事前には出来ていません。というよりも、それはほぼ不可能です。ある程度の広い時間幅と、エリア幅でしか予想できないのが現在の予報技術です。

増水した鴨川このように予報は基本的に事後にならざるを得ないなため、何より現場の実況を大切にして、自らが危険を察知して避難する、身の安全を確保する必要が出てきます。川には近づかない、既に水があふれ出していたら無理に避難するのをやめて、家の2階や屋根に逃げるのという判断もありです。また、数時間以上豪雨が続く場合は、土砂災害の危険が高まるため、崖からは離れることが大切。豪雨災害の主な死因は水そのものよりも、土砂災害にあります。巻き込まれてしまうと生存率は低く、確実に被害にあわないところへ避難することが求められます。土石流危険渓流や、急傾斜地崩壊危険個所などに指定されている場所の近くにお住まいの方は、特に雨の降り方には注意をして下さい。

大正池1時間に100mmを観測するような猛烈な雨は「集中する」傾向があります。今回も萩市の須佐では3時間で300mmを超えていますが、萩市中心部では雨量はほんの数mm。数十km離れるだけで、天と地ほどの差が出るのがまた厳しいところ。京都でも過去にこうした豪雨被害が頻発しており、2012年には宇治や洛北・亀岡での豪雨災害が発生しました。昭和28年8月14日~15日には、南山城大水害が発生し、この時初めて「集中豪雨」という言葉が公に使われるようになりました。詳しくは過去にブログに書いていますので、是非お目通し下さい

昭和10年水害で破壊された三条大橋今年は南山城大水害からちょうど60年で、京都府立山城郷土資料館では「南山城の災害史」という企画展が行われています(月曜休館)。生々しい当時の写真などで被害の様子が紹介されていますので、近くまで行かれる方は、ご覧になってみて下さい。災害はまさに「歴史は繰り返す」の言葉がよく当てはまります。過去を知ることが、未来の被害軽減につながります。どうか、多くの方に「地元の災害史」を知って頂き、いざという時に命や財産を守ることへと繋がればと願ってやみません。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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