猛暑で迎える立秋

八坂の塔と積雲
8月7日は、二十四節気の立秋。気象にとっても重要な転換点で、この日を境にして統計的な平均気温は冬へと向かって下がり続けていきます。しかし、今年はまさにこれからが厳しい猛暑が続いてきそうです。

京都御苑 百日紅わかっていてもやはり暑い。京都の7日の最高気温は36.5℃を記録しました。体感でも「これはまずい」とわかるほどの暑さですね。京都の週間天気予報は連日35℃以上の日が並んでいます。いよいよこの夏最大の熱波がやってきました。猛暑はもはや「災害」です。野外での活動は無理をしないで下さい。水分補給は必ずスポーツドリンクにして頂きたいですが、それでも塩分が不足するので、塩味の飴を舐めるなどして補給して下さい。冷房も無理せず使いましょう。川や海も涼しくなれてよいですが、水の事故には十分すぎるほど注意して下さい。

最高気温の平年値の変化(立秋)立秋は、立春と並んで気象の世界にとっても非常に重要な節目。立夏や立冬とはわけが違います。なぜなら、統計的な平均気温は、立秋から下がり始め、立春から上がり始めるからです。具体的には、8月7日の立秋以降、京都の平均気温は来年2月の立春に向かって下がり続けます。年に2回しかない気温の大きな転換点が、まさに立秋と立春。立春は新年とも結びつけられて今でも重要視する向きがありますが、立秋はマイナー。だからこそ、強く書いておきたいと思います(笑)

妙蓮寺 芙蓉ここで鋭い方は疑問を持つはずですが、実は立秋や立春などの二十四節気は、二至二分に代表されるように、気温とは関係なく天文学的な手法によって機械的に日が決まっています。平均気温が立秋から下がり始め、あるいは立春から上がり始めるのは、どちらかといえば「偶然」でしょう。しかしその偶然を、恐らく古人(いにしえびと)はちゃんと分かっていて、立秋や立春を定めたのだと思いたくなるほど、絶妙な時期に位置しています。

下鴨神社過去に何度もこのブログでは書いてきましたが、立秋は「そろそろ秋を感じられる頃」を表しています。「今日から秋めく」とは全く言っておらず、立秋の次の節気に「暑さが峠を越える頃」を表す「処暑」が来ていることからも、立秋の期間はまだまだ厳しい真夏の暑さが続くのは、古人もちゃんと分かっています。しかし、真夏の暑さの中にも、季節を先取りする「秋の気配」を感じるのが古人の季節感だったのでしょう。詳しくは昨年のブログに書きましたが、皆さんも真夏の暑さの中にも、ほのかな秋の気配を探してみて下さい。二十四節気にはこのような季節先取りものが多く、そこに気がつくと、きっと日常の世界が少し楽しくなるのではと思います。

下鴨神社にてとはいうものの、今年は「秋の気配」ですら見つけるのが厳しいほどの気候です。年間最高気温が立秋以後に観測されるのは普通のことですが、京都の2013年の最高は36.9℃ですので、恐らくお盆までのどこかで更新されるでしょう。上空の高気圧の中心は、西から日本の上を東へとゆっくり移動していく予想となっていて、全国的に厳しい猛暑となる見込み。場所によっては、40℃を記録するかもしれません。

ガーデンミュージアム比叡基本的にはどこへ行っても暑いですが、最も手軽に自然の力で涼しくなるには、高いところへ行くこと。一般的には100mで0.6℃下がるといわれますが、晴れていれば100m上がる度に1℃ほど下がるので、例えば比叡山まで行けば、気候はもはや北海道と同じです。下界から離れて天界からの眺めを楽しむのも、この時期には大いにありでしょう。いずれにしても、これから当分、非常に厳しいです。体調管理は万全にして、どうか暑い夏を乗り切って下さい。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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