広河原の松上げ 2013年

広河原松上げ
8月24日に、広河原の松上げを見に行ってきました。

広河原京都検定のテキストには様々な祭事が載っています。その中でも、広河原の松上げは見るのが難しい部類に入るでしょう。広河原は京都市左京区にあたりますが、ほぼ最北の場所にあり、京都市街地からは車で1時間半ほどかかります。峠も二つほど越えるという険しい道のり。明確な用事がなければ訪れることのない場所だと思います。そんな難所ではありますが、今年は5年ぶりに京都バスから、広河原松上げ鑑賞バスが出ることを知り、申し込んで見に行ってきました。

広河原松上げバスの料金は1人2500円。出町柳発で、松上げの松が倒れたら再集合。再び出町柳まで戻ります。5年ぶりとのことですが、今年は土曜日の実施だったからではないでしょうか。松上げの日付は8月24日で固定ですので、来年は日曜日。今年同様にバスが出るかもしれません。バスの注意点は、松上げ後に行われる踊り(やっさこさい踊り)は見られないこと。また、険しい山道の運転はやさしいとはいえず、バスに酔いやすい方にはお勧めしません。今回は、乗車順でバスの最後方の席になってしまったため、私は行きも帰りも激しいバス酔いに襲われました。あと数十分長かったら、いろいろと危なかったかもしれません。

上げ松松上げは、火の神を祀る愛宕神社への献火とともに、火災予防と豊作祈願として行われている祭事です。中央に立てられた高くて大きい松明(灯籠木:とろぎ)に、紐のついた小さな松明(上げ松)を遠心力でまるで玉入れのように投げ入れて火を灯します。その周りの広場にも一面に松明が灯され、一面は「火の海」とも呼べる状況となります。実は、洛北の花背でもほぼ同様の行事が8月15日に行われています。その様子は2年前のブログでご紹介しました。こちらもよければご覧になってみて下さい。

広河原松上げさて、広河原に到着すると、自家用車で来られている方も大勢いました。駐車場があるようなので、問題ないようです。松上げが行われる広場には20mもの巨大な燈籠木(とろぎ)がそびえ立っています。写真ではスケール感が伝えきれないと思いますが、現地で見ると威圧感さえ感じる高さです。観賞場所も広いので、見えない心配はないかと思いますが、最前列などは例のごとくカメラマンが早くから来て場所を取っていますので難しいでしょう。私は、川にかかる橋の上を運よく取ることができ、なかなかよい場所で見ることができました。なお、地面に座れるようにシートがあるとよいでしょう。ライトもお持ち下さい。

広河原 観音堂にて松上げが始まる前には、松上げ場所から少し歩いた観音堂で、地元の古老たちを中心として、ご詠歌が歌われているようでした。ハンドベルのような形をした鉦の高い音が印象的で、山里に脈々と受け継がれてきた伝統を垣間見た気がしました。また、松上げが行われる広場に入れるのは男性だけとのことです。

広河原松上げ20時30分頃になると、鉦が打たれて会場の周りに順番に松明が灯されていきました。一通り辺りが炎に包まれると、大きな燈籠木の周りに男たちが集まって、いよいよ松上げの開始です。高さがビルの7階分にも相当する20mもありますので、放物線のピークが合わないと乗せるのは難しく、初めのうちは全く乗りそうな気配がありません。10分以上してようやく上げ松の角度がよくなりだして、だんだんとおしいものも増えてきます。

広河原松上げそして!ついに燈籠木に松明が乗りました!見物客からは大きな拍手と歓声が上がります。乗った瞬間の動画もありますので、ご覧になってみて下さい。松明が乗ったことで、燈籠木も燃えだしてきます。燈籠木に炎が灯った後も、まだまだ上げ松を乗せようと頑張って投げています。しかし、やはり乗せるのが難しく、今年は最初に乗った松明以外には乗らなかったかもしれません。印象としては、花背の松上げよりも乗りません。

広河原松上げ燈籠木に炎が灯って10分程すると、燈籠木からも火の粉が落ち始めます。その段になると、いよいよ燈籠木が一気に倒されるのです。高さ20mもの大きな炎が一機に倒れる様子は迫力があり、こちらも大きな歓声が上がっていました。ここまでの様子は花背の松上げと概ね同様な内容です。

広河原松上げ広河原の松上げには、花背の松上げにはない風習もあります。倒れた燈籠木から支えていた柱を外すと、炎にどんどんと藁を足していきます。そして男たちが山側と川側に分かれて、「山行くぞ~!」のかけ声で、山側の男たち数人が火のついた藁に勢いよく棒をつっこんで上に放りあげます。これによって炎がボワッと大きくなって、はたから見ていてもかなりの迫力を感じました。

広河原松上げ同じように「川行くぞ~!」のかけ声で放りあげが行われ、勇壮な火祭りが続いていきます。さらに祭りはこの後、盆踊り(やっさこさい踊り)へと流れていきますが、京都バスのツアーでは見られてもこの放りあげまで。私もダッシュでバスに戻り、なんとか遅刻の範疇には入らずに戻ることができました。祭りの続きは、またいつかレンタカーでも借りて見に来れたらよいですね。なかなか見る機会のない広河原の松上げ。今回も一通りは動画でご紹介できますが、一面に松明が灯る幻想的な様子や、炎の迫力、煙の香りなどは、現地でしか分からないものがあります。機会がありましたら、是非、皆様の目でご覧になってみて下さい。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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