先日、南禅寺の天授庵を訪れると、桔梗と睡蓮の花が美しく咲いていました。
台風は昨日の予想から速度が大きく変わって九州に上陸。午前9時には四国で早くも温帯低気圧に変わりました。直前まで予報が定まらなかったのは、現代の予報技術の限界と言えるかもしれません。台風が予定より早く進んだため、天気の流れも変わってしまい、台風からの非常に湿った空気が入り込んだ四国から東海地方を中心に猛烈な雨に見舞われました。温帯低気圧に変わったと聞くと単純に弱まったと思われがちですが、台風であるかどうかの基準は「風速」と「構造(気象学的な)」のみですので、大雨に関しては台風である時と危険性が変わらないことが多いです。
今回もそうで、台風由来の非常に湿った空気は速度を速めた台風そのままの勢いで進み、ライン状の強い降水域が生まれて、1-2時間ながら猛烈な雨を降らせています。激しい雨が降る時は河川が急激に増水しますので、絶対に川には近づかないことが第一。個々のレベルでも気象レーダーを見て雨雲の動きを予測し、事前に備えたり避難をする方法もありだと思います。5日は関東方面と東北の太平洋側を除けば、久しぶりに平穏な一日となりそう。4日夕方の京都は、台風が運んだ水蒸気の影響か、いつも以上に美しい夕焼けを見ることができました。
南禅寺の天授庵は、数ある京都の社寺の中でも私が好きな場所の一つです。基本的には静かで人の少ないお庭が好みなのですが、天授庵は紅葉シーズンを除けば人影はほとんどなく、枯山水のお庭と池泉回遊式のお庭をそれぞれ楽しむことができます。それぞれの風景は京都の中でも美的レベルが高く、非日常の空間を味わうことができるでしょう。
春は新緑、秋は紅葉、夏には睡蓮と桔梗が境内を彩り、苔の緑や滝の音も心を癒してくれます。南禅寺そのものは京都の観光スポットとしては人気が高いので、訪れた際には是非、天授庵にも足を延ばして頂ければと思います。なお、紅葉の昼間と、ライトアップ、新緑の様子や雪景色も、以前にブログでご紹介していました。私のお気に入り度合いがわかるようですね(笑)
夏の間、境内の奥の池に人知れず咲き誇るのが睡蓮の花。近くでは平安神宮が睡蓮では有名で、先日ご紹介した龍安寺など、京都各地で午前中を中心に美しい花を咲かせています。睡蓮は花の期間が長いのも特徴で、9月も十分に楽しめるでしょう。ただ、午後には花が閉じてしまうため、早めの時間帯に訪れてみて下さい。
青と白の桔梗の花も綺麗な花を咲かせています。ただ、桔梗で有名なお寺のように茎はまっすぐ立っておらず、全体的に寝ていてやや荒れた感じがします。あまり期待はせず、ちょっとした彩りとして眺めれば、より美しく感じるかもしれません。境内には萩の枝も見かけましたので、おそらく9月中ごろから下旬にかけて紫色の花を咲かせてくれそうです。
紅葉シーズン以外の天授庵は本当に人が少なく、心行くまでお庭を楽しむことができるでしょう。歩く際には足元に注目してみるのも面白いと思います。枯山水庭園では、菱形の畳石が直線的に並ぶ意匠が小堀遠州の発案とも伝わっています。池泉庭園は明治期の改修が入っていますが、飛び石や木橋に趣があり、歩くたびに変わる風景の中に、京都らしさがあふれていますよ。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。