9月20日に大覚寺の観月の夕べに足をのばし、大人気の舟からも月を眺めてきました。
大覚寺の観月の夕べは、毎年中秋の名月の前後に行われており、今年は9月19日の中秋の名月を含む、19日~21日の3日間行われました。その目玉は大沢池に浮かぶ龍頭(りゅうとう)・鷁首(げきしゅ)の舟で、見事な名月を静かに楽しむことができます。ただ、舟券を手に入れるのが難しく、今年は15時からの販売開始でしたが、19日の中秋の名月の日は、15時40分にはすべて完売したと耳にしました。20日は、14時半頃に列に並んで、どの時間帯も買うことができました。
舟券は、17時台、18時台、19時台、20時台の4つの時間帯から選ぶ方式です。ここでの注意点は、自身の予定のみならず「月の出」の時間を把握しておくことでしょう。また、17時台はまだ明るいため、夜の雰囲気とは異なります。何度も乗っている方であれば、あえて選んでみても面白いでしょう。一般的には、月が出る時間帯、それも月の昇り始めの時間帯のほうが見やすいため、事前の「月の出」の時間を調べておくことが重要。この時期は、1日違えば、月の出は30分以上遅くなりますので、ご注意ください。
20日の月の出は18時15分ということで、私は18時台の券を購入しました。18時台ならばいつ舟に乗るための列に並んでもOKです。また、券を買えば大沢池や大覚寺への出入りは自由となりますので、当該の時間帯まで、嵐山なりに出かけて時間をつぶすのもよいでしょう。券は1人で4枚まで買うことができます。
大沢池に月が昇って来るのは、月の出から15分程過ぎた頃です。中秋の名月の時期によっても異なると思いますが、今年は低い山から月が昇ってきました。やや赤みを帯びた大きな月に、人びとからの歓声があがります。月はゆっくりと昇り、大沢池にも映りんで大変見事な光景です。これこそが、嵯峨天皇の時代から眺められてきた風景なのかもしれませんね。
この日は、できるだけ19時に近い時間帯に舟に乗るための列に並びましたが、既に19時台の券を持った方がややフライングぎみで並んでいて、かなりの列が延びています。結果的に、50分待ちの19時40分ころに、ようやく舟に乗ることができました。とにかく、この観月の舟は待ち時間が長いのが特徴ですので、乗るのにも一苦労も二苦労も必要です。時間のみならず、精神的にも十分な余裕を持って挑戦して下さい。できれば一人よりも二人以上で行く方が、話し相手もいてよいのではと思います。
ただ、舟に乗ってさえしまえば、岸の喧騒からも離れて大変静かに見事な月を楽しむことができます。舟に乗っている時間は20分程。まさに別世界にいるといった感覚で、優雅な時間を過ごすことができました。舟上では、大覚寺の歴史などの簡単な解説も付いています。なお、昨年までは舟上で抹茶の接待もありましたが、今年からはなくなってしまったようです。
舟からは月のみならず、大沢池に映りこんだ境内の様子も大変綺麗です。心経宝塔も池に映り揺らめいていました。大覚寺はこしいた池の風景も大変綺麗ですね。紅葉シーズンに行われるライトアップも「真紅の水鏡」と題されていますが、吸い込まれそうなほど美しく池に映りこみますので、機会があればそちらにも訪れてみて下さい。さて、今回の船上のでの様子は動画もありますので、ご覧になって下さい。
この日は自転車でしたので、大覚寺の後に、近くの広沢池でも月を眺めてきました。広沢池も古くから観月の名所として知られている場所です。ただ、今では主に地元の方が訪れる場所として、ひっそりと見事な月を楽しむことができる穴場となっています。平安時代の末期に活躍をした源頼政は、「いにしえの 人は汀に影絶えて 月のみ澄める広沢の池」という歌を残していますが、まさにその歌が浮かんでくるよな光景でした。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。