台風26号が接近しています。関東を中心にでは16日の朝から厳重な警戒が必要です。
今シーズン日本に接近する台風の中では最強の台風がやってきます。台風の当たり年でなんと10個もの台風が上陸した2004年も、最も被害が大きかった台風は最後の10個目にやってきた23号でした。10月20日に高知県に上陸したその台風は、平成以降では最悪の98名もの死者・行方不明者を出してしまいました。10月だからといって台風への油断はできません。
今回の台風の特徴は勢力が強い、つまり「風が強い」こと。また大型で「影響範囲が広い」ことも特徴の一つです。加えて「速度が速い」という点にも要注意。雨は明日(15日)から降り出して、東に開けた山沿いを中心に台風が過ぎ去るまで激しい雨が続く恐れがあります。風は台風が接近すると急激に強まってきます。風には、風速の数字が倍になると、風圧は2乗になるという性質があります。つまり、風速が2倍ならば圧力は4倍に、風速が3倍ならば圧力は9倍に、4倍ならば16倍になります。風速の増加は圧力を急激に強め、一気に危険が増すことを覚えておいて下さい。雨戸は確実に閉め、飛来物でガラスが割れるリスクを避けてください。
今のところの予想では、16日の朝から昼過ぎにかけて関東に最接近し、上陸の恐れもあります。まさに通勤・通学の時間帯に重なるため、厳重な警戒が必要。家を出るときにそれほど風が吹いていなくても、外出先で急激に風雨が強まって、身が危険にさらされたり、交通機関がストップして立ち往生する可能性もあります。不要不急の移動は避けて下さい。
昭和9年の室戸台風も、勢力が強く動きが速かったことが特徴でした。大阪や京都では、朝6時頃はまだ「今日は風が強い」程度の体感で通学していった生徒たち。午前8時頃には暴風が吹き荒れ、木造校舎は悉く倒壊。数多くの生徒や教師が亡くなりました。当時は警報が現在ほど周知されていなかったことも原因の一つではありましたが、「危ない」という情報が事前に周知される現代、決して無理はしないでください。
大きさや予想進路などが多少異なりますが、2004年の台風22号は10月に関東に上陸した台風で、勢力が強く、スピードが速かったという点で共通点があります。このときは、上陸地点の伊豆半島や関東の沿岸部では急激に風が強まり、暴風による破壊的な被害も発生しました。今回は最も危険なのは千葉県、次いで東京や神奈川の沿岸部です。また、台風の接近に伴って、竜巻やダウンバーストが発生する恐れもあります。台風が本体が接近する前から発生する可能性があるので、周りの様子にも注意をしておいて下さい。
また、「影響範囲が広い」という意味では、直撃は無くとも、東海や関西、東北でも風が強まってきて、沿岸部など開けた場所を中心に荒れ模様となります。油断をせず、気象台や報道機関からの注意情報に耳を傾けるようにして下さい。ビルの間などでは突風が吹きやすく、転倒による事故も発生しかねないと思います。また、台風が引き込む寒気と日差しがなくなる影響で日中の気温が下がります。体調を崩さないよう、服装にもご注意下さい。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。