3回に分けてご紹介してきた亀岡祭。今回はその最後、山鉾紹介の続きです。
口丹波の祇園祭とも呼ばれる亀岡祭。「稲荷山」の周りには夜店も並んでお祭りらしい雰囲気でした。子どもたちも多く、人で賑わっている一角です。雨が降っていたため山鉾は出ていませんでしたが、会所の中には稲を持ったご神体が飾られていました。懸想品は江戸時代の古いものを裁断して仕立て直したものだそうで、地元の方から昨年の巡行時の写真などを見せて頂きながら、丁寧に解説をして下さいました。
「難波山」も、ご神体のみの飾りでしたが、お囃子は会所の中で披露されていました。雨が上がって地元の方も大勢集まって来られ、お囃子に声援を送っていました。こちらは懸想品が大変綺麗で美しく、見ごたえがありました。祇園祭と変わらず、豪華絢爛な懸想品には目を見張るものがありますね。
次に「浦島山」。山鉾は残念ながらブルーシートに覆われていましたが、梅こぶ茶とお菓子の接待を受けることができました。ちゃんと座る場所もあり、ゆっくりと時間を過ごすことができます。さらには会所の前に実っている柿の実をおみやげに頂きました。本当に親切で温かいですね。浦島山は、かの有名な浦島太郎を題材にした山鉾で、ご神体の浦島像は亀岡祭のご神体の中でも屈指の美少年像です。他のご神体に老人の姿が多い中で、若い姿は珍しいです。会所でじっくりと向かい合うこともできますので、是非、ご覧になってみて下さい。
残るは2基。いずれも立派な山鉾です。まずは「羽衣山」です。羽衣山の周りには、子どもたちが描いた山鉾の絵が掲げられていました。しかもどれも上手でした!近くの小学生が描いているようですね。羽衣山は天女の羽衣伝説を題材としており、前掛けにも美しい天女が描かれています。羽衣山は平成14年に復活した、大きくて美しい山鉾です。この日は蔵の中で子どもたちがお囃子を演奏していました。
羽衣山から翁山までは少し距離がありますが、道中は灯籠が優しい光で照らしてくれていて、スピーカーから流れるお囃子は遠くに聞こえ、とても風情があります。灯籠の中には見事な切り子灯籠もあり、目を楽しませてくれました。亀岡の街並みはとても美しいです。こうした風情は、祇園祭の山鉾町では味わうことができないでしょう。
また、道中の家々では手作りの鎧が披露されています。「亀岡手づくり甲冑の会」という市民団体が平成22年から140を超える鎧を制作して、展示をしているそうです。中には頭の部分にご当地キャラの「明智かめまる」くんがいたりするようなユニークなものもありました。京都の屏風祭りと似ているようで、一味違っていて面白いです。
最後の「翁山」。こちらも比較的大型の山鉾です。雨が上がってきたからか、山鉾の上からお囃子が披露されていました。翁山では、明るいライトで山鉾を照らしていて、他よりも際立って見えました。町内の方々も大勢集まってお囃子を見守り、アットホームな雰囲気があります。通常ならば、お茶の接待もあったようですが、こちらは雨のため中止となっていたようでした。
さて、11基の山鉾のスタンプを集め終わると、翁山か鍬山か稲荷山で来年のカレンダーを頂けます。亀岡祭の写真が入った特製カレンダーです。亀岡祭のスタンプは祇園祭と違って1か所ごとの志納金は特に必要ありません。祇園祭の朱印集めでは、1か所100円~300円×33基(+2基)と、なかなかのお金が必要ですが、亀岡祭は気楽に集められるでしょう。今年も、楽しませて頂いた亀岡祭。来年以降もまた、訪れたいと思います。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。