護王神社の亥子祭、今回は御所への行列(禁裏御玄猪調貢の儀)と饗宴の儀の餅つきの様子です。
護王神社の亥子祭、昨日は、御舂(おつき)の儀をご紹介しました。御舂の儀で出来上がった亥子餅は、御所へと献じられます(禁裏御玄猪調貢の儀)。護王神社で隊列を整えて、暗闇の中、ゆっくりと御所へと進んで行きます。この列に参列するには千円以上の志納金が必要ですが、列を見学するのは自由(無料)です。また、志納金を出した方も、御所内には入ることはできませんのでご注意ください。
御苑を歩く行列は、厳かな雰囲気があります。参列者も近年は増えてきているようです。通常は暗闇で列は基本的にははっきりと見えませんが、今回はテレビカメラ(?)の撮影隊がいて、時おり強力な照明で列を照らし、歩く様子を見ることもできました。列は御所の清所門から関係者のみが入って儀式を行い、程なく出てくると、再び隊列を整えて護王神社へと戻っていきます。
亥子祭の儀式はこれで終了で、神社では直会(なおらい)として、おでんが配られ、その間に、饗宴の儀の準備が進められます。饗宴の儀では、皆で亥子餅を作り、頂くことができます。臼にもち米を入れ、さらにピーナッツを砕いたもの、黒砂糖、ゴマ、カリン酒をつけた後のカリンの実が加えられた、護王神社オリジナルで亥子餅は作られています。
この餅つきで歌われるのが亥子囃(いのこばやし)。リズムも軽快なお囃子で、手拍子も入り、見ている方も楽しい気分になります。餅つきには一般の方も参加でき、杵を持つこともできますよ。餅がつき上がると、丸められて参列者に配られました。おみやげで頂いた和菓子屋さんの亥子餅とはまた違って、独特の風味があります。好みは分かれるかもしれませんが、機会があれば、一度口にしてみて下さい。
ちなみに「亥子囃」の歌詞はこうです。「亥の月 亥の日 亥の子刻 厄除け 三種(みくさ)の 亥子餅 舂くつく つく つく 命つく つく それ幸いなー 幸いなあー 猪しゃ 餅食って ほーい ほい 和気さん お出まし えーい えーい えい えい えい」。動画もありますので、一度ご覧になってみて下さい。
亥子祭は厳粛な儀式から、最後の楽しい餅つきまで、幅が広い行事だと感じました。17時から全てを見ると3時間以上必要ですので、時間的余裕と温かい服装でお越しください。餅つきが行われるのは20時頃で、会社帰りでもこの餅つきには参加できる方も多いのではと思います。亥子囃が響く境内はとても雰囲気がよく、気持ちも和むことでしょう。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。